再帰 (reflexivo) とは何か
代名動詞とは何かのところでも説明しましたが、再帰表現とは、代名動詞の持つ役割のひとつです。
たとえば「洗う」という動詞を例にとって考えてみましょう。ただ単に「洗います」と言っても何を洗うかということが問題になってきますが、洗濯物を洗う、お母さんが子供をお風呂に入れて洗ってやる、自分自身を洗う、自分の手を洗うなど、自分以外の他者(物)を洗う場合と自分自身を洗う場合があります。そのうち、「自分自身を洗う」というときの表現が再帰文です。
つまり、「洗う」という行為を行う「自分」と「洗う」目的語となる「自分」という対象が同じ場合、「再帰」となるわけです。たとえて言えば、主語(動作主)と目的語(受動主)を向かい合わせて配置してみると、まるで、鏡に反射 (
reflexión) したように、「自分が自分を洗っている、自分が自分に洗われている」という状態を表します。それに対して、他者や物を洗う場合は、動作主の自分(主語)と洗う対象(目的語)が異なりますので「再帰」とは言えません。乱暴な言い方をすれば、自分で行動を起こし、その影響を被っているいわば「自作自演」を行っているということができるでしょう。
また、「再帰」のひとつの定義として、動詞の後に 
a sí mismo(-a) をつけても意味が通じるものだと言うこともできます。
では、再帰表現はどのように構成されるかを見てみましょう。当然のことながら、「目的語」を必要としますから、動詞は「他動詞」でなければなりません(自動詞では再帰表現は成立しません)。
再帰代名詞 (
me, te, se, nos, os, se) とそれぞれの他動詞の活用形を組み合わせて表現します。「洗う」 (
lavar) を例にとってみましょう。
| 私は | 
yo | 
me | 
lavo | 
| 君は | 
tú | 
te | 
lavas | 
| 彼/彼女は | 
él/ella | 
se | 
lava | 
| 私たちは | 
nosotros | 
nos | 
lavamos | 
| 君たちは | 
vosotros | 
os | 
lavais | 
| 彼らは | 
ellos/ellas | 
se | 
lavan | 
 
  
La madre lava la ropa. 
(母親は洗濯物を洗う。)―非再帰 
  
La madre lava al niño. 
(母親は子供を洗ってやる。)―非再帰 
  
Las madre se lava después de lavar al niño. 
(母親は子供を洗ってやった後、自分を洗う。)―再帰 
  
El niño se viste a sí mismo. 
(その子供は自分で服を着る。)―再帰 
 |