
翻訳くさい表現、ぎこちない翻訳文、
すべては日本語と英語の違いを処理しきれていないところに、
発生する現象です。
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5. 日本語の「起承転結」と英語の「序・本・結」
英語には英語の起承転結があります。
文章の論理性だけでなく、ひとつの文書全体で、論理的な流れを作っていくことも必要です。
日本語では物語などを書くときによく言われるのが「起承転結」という考え方です。元来、漢詩を作るときに使われた手法で、これをこのまま、企業のメッセージや科学的な内容のものに転用することは無理があると思いますが、「開始、発展、結論」という基本的な流れはさほど変わらないかもしれません。
それに対して、英語には Introduction - Body - Conclusion という流れがあり、一見したところでは、英語も日本語も同じような文書構造を取るように思えますが、実は、微妙に異なります。
英語の「イントロ(導入部)」は読者の注意を向けさせると同時に、何を語ろうとしているのか(結論)を知らせる意図があり、次に、「ボディー(本文)」が来て、その中で自分の考えを展開させていきます。そして、最後に「結び」で締めくくります。ところが、日本語の「起(開始)」の部分では結論が述べられていないことが多いのです。日本語は最後に結論が来るとよく言われますが、最初は一般的な入りやすいところから入り、どんどん期待を高めて、最後で結論を言って盛り上げるという傾向があるようです。
また、これらのパーツをさらに細かく分けたのがパラグラフ(段落)です。前ページでも説明していますが、英語のパラグラフは、1つのパラグラフで説明するトピックは1つのみで、話題が変われば新しい段落を設けます。パラグラフの構造も日本語とは大きく異なり、トピックセンテンスという短い文章で始まります。この文章は、このパラグラフで何を語るかということを要約して述べる役割を果たし、その後にそれを補佐する文章が続き、最後に締めくくりの文章が来るというルールがあります。また、前後のパラグラフも最後の結論に至るまでの階段の一段のような機能を果たし、論理の飛躍なしに一歩ずつ登っていくというのが理想的です。
下の図は、日本語と英語におけるパラグラフの考え方を図解したものです。すべての文書がこの図のような構造をしているということではありませんが、日英の代表的な構造パターンを表しています。
それぞれのパラグラフの関連性が密接で、意味を持った段落分けになっている英語のパラグラフに対して、日本語では、どうも「1個の文章の塊り」くらいに捉えているような傾向もあります。英語のようなトピックセンテンスもありません。長くなったからここら辺でパラグラフを変えておこうというのか、1つの段落が長すぎないように、内容に合わせて適当に区切っているという考え方が一般的です。また、同一パラグラフのなかに別々の情報をごっちゃに入れ込んだりすることもあります。
たとえば、「研究開発」というタイトルのページで、研究所の紹介や共同開発について語られているなかに、余白を活用しようという意図があるのか、突然、「研究所スタッフのための福利厚生施設」の説明などが入ったりする場合があります。日本語の理屈で行くと、「研究開発に関係することなのだから同じ場所で語ってもおかしくない」と言えるかもしれませんが、やや焦点がぼやけるような感じがします。
いずれにしろ、日英それぞれ最初から別々に文章を作るということは現実的ではなく、どちらかをベースにもう一方を翻訳していくしかありません。与えられた制限のなかでできる限りの努力をし、理想に近づけるというのが翻訳ライティングを行ううえでのポイントになります。
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