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冠詞について |
学校の英文法の時間では、試験に備え、ひたすらテキストの用例を暗記、その一方で「どうせこんなものはわからないものなんだ」と悟りを開き(?)、そして、いざ真剣に勉強しようという段階になって、必死で文法書を読んでみた…読んでみたけどやっぱりわからない。それが、ずばり「冠詞」というヤツですね。ひょっとすると、文法書を何冊熟読してみても、わからないかもしれません。言語は左脳機能だからと、本や辞書に書かれている用例をすべて暗記したところで応用が効かない。「本質」を理解していなければ意味がありませんね。ことによると、ほとんどの文法書ではこの「本質的な」ものが説明されていないのでは?という疑いすら起こってきます。 いずれにしろ、「理屈」だけで割り切って理解できるものではなさそうです。思い切って open-minded な態度で、感覚的に受け止めてしまったほうが「核心」に触れることができるのではないでしょうか?実際、外国語を勉強するということ自体が、すでに異文化との触れ合いであるわけで、それを飲み込むにはある程度「度量の大きさ」みたいなものが必要ではないかと思う今日この頃です。 |
冠詞はエライ? |
「冠詞」というからには「冠」言葉だと思ってしまいますが、意味のない日本語の「枕言葉」とは違って、英語でいうと "article" という単語の他に "determiner" という品詞の一部でもあります。 "determiner" は、直訳すれば「決定するもの、人」という意味になります。どこの世界でも「決定する人」または「決定権」のある人はエライ人と相場が決まっています (エライの内容的なものは別にして)。その人はそこの世界では必要不可欠な存在であるわけで、決して何かの「付随的なもの」ではありません。 そう考えると、今まで、「この場合には a が付くだの、付かないだの、the が不要だの必要だの」、とまるで「名詞の飾り」みたいな捉え方をしてきたことが果たして正しいことだったのかと考えずにはいられません。「飾り」どころか、その逆で、月が自分で光を発するのではなく、太陽の光を受けて輝いているのと同じで、「冠詞」による「決定付け」が無ければ、その名詞は「概念」にとどまるのみで「具体性」を持たないのだと考えることができます。 |
物理的分析?? |
物質には「気体」、「液体」そして「固体」がありますね。やや強引ですが、「冠詞」の無い名詞は言ってみれば「気体」のようなものでカタチが無く、捉えどころのない状態のものだと言えます。 "a" や "an" という「不定冠詞」によって決定づけられた名詞は「液体」のような状態、そして "the" という「定冠詞」による名詞は、ハッキリとしたカタチある「固体」のようなものだと言えるかもしれません。つまり、「無冠詞」はおぼろげなイメージだけ、"a" 、"an" になるとひとつのカタチが見えるものになってきますが、特定することができない状態です。それが「あれ」とか「これ」などと特定されることができるようなものになって初めて "the" となるわけです。 |
人類学的考察?? |
さきほどから物理だの人類学だのと大げさな言葉を持ち出して、いたずらにわかりにくくしているようですが、言葉じりには気をとられないでください。 昔むかし、太古の昔、人類がはじめてこの地球上に存在し始めた頃のことを考えてみたいと思います。まだ言葉はなかっただろうと思われます。しかし、仲間が増えて来るにつれてなんらかのコミュニケーションをとろうとする動きが現れてくるはずです。手振り、身振り、声などをフルに使ってお互いに意志を伝えようとしたに違いありません。それはちょうど、わたしたちが全く言葉の通じない外国人に自分の意志を伝えようとするのと同じですね。そうこうしているうちに年月も経ち、だんだんと「言葉」というものが生まれてきます。たぶん「名詞」から生まれてきたのではないかと思われます。 さて、ここでクエスチョンです。ある日のこと、人々の前に今まで見たこともない生き物が姿を現しました。その生き物は四つんばいになって歩き、耳が垂れていて、目がくりくりとしたとても可愛い動物です。頭を撫でてやると「クゥーン」と声を上げますし、知らない人を見ると「ワン、ワン」と鳴きます。さて、この動物とは一体なんでしょうか?この質問を大昔の人たちに尋ねてみても、彼らには答えようがありません。なぜなら、その動物は初めて彼らの前に姿を現したのであり、それを表現する言葉もまだ無いからです。人々はとりあえずその動物に名前をつけることにしました。「犬」では芸が無いので、「ポチ」と名前をつけたことにしましょう。 |
あの「ポチ」、この「ポチ」… |
「名詞」というのは、ご存知のように「モノの名前」のことですね。人々は初めて見た動物に「ポチ」という名前をつけることによって、他の人とその動物についての会話ができるようになりました。つまり「言葉はコミュニケーションの手段である」というわけです。人々は「ポチは可愛いね」"Pochi is cute, isn't he?" などと話し合うようになりましたが、ここでの「ポチ」はわたしたちの名前と同じように「固有名詞」(ある特定のものに与えた特定の名前)であるわけです。 ところが、しばらくして人々の前にもう一匹の「ポチとそっくりな動物」が姿を現しました。この新しい「ポチ」は最初の「ポチ」とは違って性格の悪い、獰猛な「ポチ」です。人々の会話は少しややこしくなってきたことでしょう。「ポチの野郎、オレに噛み付きやがった」"Pochi has biten me!" (なんか急にガラが悪くなったようですみません)、「お前が言っているのはどっちのポチのことか?」"Which Pochi do you mean?" 「あそこでふて寝してるポチだぜ」"The Pochi who is sleeping sulkily over there." という具合に、人々のあいだで、同一のものが二つ以上存在するようになってくると、「あの」ポチ、この「ポチ」というふうに「区別・特定」する必要性が出てきます。そこで "the" 名詞が必要になってくるわけです。 |
あれも「ポチ」、これも「ポチ」… |
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そして、いつしか時も流れ、どこからやって来たのか、はたまた「ポチ」が「ポチ」を産んだのか、人々のまわりには数多くの「ポチ」が存在するようになり、この動物もしごく一般的なものになっていきました。人々は口々に「オレはポチを飼っている」 "I have a Pochi at home." 「わたしの家にもいるよ」 "I also have one (=a Pochi)." などと言うようになったのではないでしょうか。ちなみに、 "a" "an" は「ひとつ」を意味する "one" から派生した言葉であり、同義語であると言われています。 こうして、人々のあいだで「ポチ」というものは「四つ足でワンワンと鳴く動物なんだ」という共通の概念ができあがり、この概念の部分が「無冠詞」の部分ではないかと考えます。もちろんその概念は人によって多少は異なりますし、どこからどこまでがそうなんだ、という線引きは出来ないのですが、その線引きをしない部分が「無冠詞」の領域であるとも言えるのではないでしょうか。 |
まとめとして |
上記に挙げた例は、言葉の生成のプロセスが固有名詞→定冠詞名詞→不定冠詞名詞→無冠詞という流れになっているというわけではありません。あくまでも「冠詞」というものをどう理解すればわかりやすいかという観点から引き合いに出したもので、それぞれの冠詞が使用される状況がなんとなくつかめればいいのです。英語やその他のヨーロッパ言語は、日本語と比べて、はるかに厳密な言語構造を持っているように思われます。「名詞」ひとつであっても、その「属性」を明らかにしなければ成り立たないような厳しさを持っているとも言えるでしょう。英語を勉強する日本人としては、まずこの点を理解しようとすることから始めなければならないような気がします。 より的確に、厳密に表現しようとする意識を持ち続けていくうちに、彼らの発想が少しずつ理解できるようになり、冠詞による定義づけも徐々に見えてくるのではないでしょうか。日本人の発想だけでモノを見るのではなく、大きなココロで、広い視野を持ち、実際の英語に触れ、ひとつひとつブレークスルーしていきましょう。 |