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Last update January 1, 2015

味のある熟年世代の英語学習



年をとるのがなぜ悪い?

このサイトでこんなことを言っても仕方がないのですが、最近の世の中、ちょっとおかしい(?)気がします。40代後半や50代になるとリストラ対象、70代、80代は社会の周辺存在的な言われ方で、なんだかいまひとつ釈然としないものがあります。人生50年なんて言われていたのは織田信長の時代で、今はもう21世紀。経済的な状況もあって高い給料払えないからとか、今までの経験は役に立たないとか、いろいろ言われています。しかし、だからと言って、年齢とともに重ねてきた人類の財産というものをカンタンに切り捨ててしまうとしたら、人類の滅亡も早いのでは、と思わずにはいられません。

確かに、厳しい時代を切り抜けるのは若いエネルギーが必要です。熟年にもなると、さすがに100メートル一気に走り抜けることはしんどいわけで、若い能力を活用することに関しては全く反論する(しても仕方がない)気はありません。しかし、長い年月をかけて醸成された味わいというものは「文化」であり、「知恵の宝庫」であるはず。たとえ、ここ10年くらいは「若さで行け行け、ドンドン」の風潮が続いたとしても、また、文化や知恵といった「豊かさ」が求められるときが来るはずです。そうでなければ、人類はほんとうに滅びるんじゃないでしょうか。

精神の若さをもって

30代、40代、50代…と年を重ねるごとに体力は衰えてくる、これは仕方がありません。人間も生物ですから。職業柄、必要だとおっしゃる方もいらっしゃるとは思いますが、皺や肌のたるみを無くす整形など、英語を勉強している人なら、こんなところに挑んでもあまり意味がないですね。科学的に探求したわけではありませんが、肉体といった物質的なものは衰えたり滅びたりすることはあっても、精神や心には「滅びる」ということはないはずです。亡くなったおじいさんが教えてくれたことを今でも覚えているという場合は、そのおじいさんの精神が生きているということですから、精神はやはり永遠なわけです。

つまり、年齢を重ねるごとに精神的には若くなりましょう、ということです。これが、何かを学んだり、習得したりする場合にはとても大切なことだと思うのです。といっても、年を取ると幼児に戻るとかで、うちのおじいさんは年をとって我がままになってしまったといった「幼児モード」になることではありません。柔軟性を持つということです。心が若いというのは、柔軟性があることで、押したらすぐ戻ってくる食パンのような「弾力性」とも言えます。

また、年を取ると「頑固」になると言われ、それが気になるのか、かえって自分の意見を堂々と述べるのに躊躇してしまうこともあるかもしれません。「頑固」にもいろいろあって、それが経験や知恵にもとづく「確信」であるのか、若いもんにとやかく言われたくないので意地でも動かないという「老人性ツッパリ」なのか、自分でも見極めがむずかしいところです。そんなときこそ、「頑固」に「柔軟性」を融合させて、いろんな考え方を想定し、そのうえでどうなのか、ということを検証してみるのもいいかもしれません。「頑固」でもいい、それを「ワシがこう思うからこうなんじゃ!」というのではなく、客観的に説明して、説得できれば言いわけです。世の中を長年生きてきた背景があるわけですから、「頑固さ」は熟年のアイデンティティ、それを柔軟性と組み合わせて、良い意味で使っていけばいいと思うのです。

若者とは違う英語アプローチ

ということで、じゃあ、熟年層としての英語の習得の仕方は?ということになりますが、やはり若者とは少し異なる部分があると思います。たとえば最近の若い人たちの間で流行っている(た?)言葉を熟年の人たちが使っても失笑を買うだけで、第一似合いません。可愛い孫娘と会話したいから使ってみた、というのもいいかもしれませんが、真剣に自分の語彙として使うことはあり得ないでしょう。つまり、英語でも同じことが言えるわけで、若い人の使う表現や語彙、それなりの人生経験を積んだ人の使う言い回しや語彙があるということです。

これは自分の職場で実際にあった現象ですが、ある帰国子女の若い女性がいて、彼女はお父さんの仕事の関係で小学校から中学年の頃までアメリカにいた人です。そこに50代の彼女の上司がいて、この方は40歳過ぎてから英語を始めて、仕事で英語を使ってきた方です。発音やスピーキングの速さ、リスニングなどは当然、彼女のほうが上ですが、彼女がアメリカにいたのは小学校までですから、使う語彙や言い回しなども、そのときの日常会話レベルのままです。もちろん、これは、日本に戻ってきてからも英語の勉強を続けたかどうかといった「個人差」もあるわけですが、実際のビジネスで使用する単語などは、日常会話とは若干異なります。やりとりする内容も、「何を送った」「着いたか?」「いつ着くのか?」といった単純なものなら良いのですが、仕事の流れのしくみであるとか、方針の考え方であるとかいう高度な内容になると、日常会話レベルではまかないきれないものがあります。

この上司の方はというと、話すスピードもたどたどしいものがありましたし、リスニング力もそんなに高いレベルではなかったかもしれません。しかし、その立場として、こちらの考え方などを適切に伝えなければならない場合に、適切な言葉を選んできちんと伝えることができます。モノの見方ひとつにしても、経験や人間を見抜くといった洞察力がありますから、相手の話すこともきちんとポイントを理解できるのです。語彙にしても、若い人たちがつかうスラングや日常会話的な言い回しは得意ではないが、コンセプチュアルなものを説明する抽象的な単語、技術用語などはだんぜん豊富なわけです。

別に四文字熟語や古い慣用句などが必要だということではないのですが、今の若い世代は、例えば「枯れ木も山の賑わい」と言うと、たいてい「それ何ですか?」という答えが返ってきます。しかし、ある年齢になると、会話の流れのなかで、こういった言葉を使ったほうがしっくり来ると感じることもあります。古臭いとかは別にして、そこに何か表現の豊かさを感じるからであって、言葉の遊びというか、余裕や粋(いき)を感じるからだと思います。

慣用句に限らず、ひとつの言葉の概念をより深く感じることができ、味わうことができる余裕というのは、(もちろん個人差はありますが)若い人たちにはむずかしい。人生経験を重ねていないだけに、言葉の概念自体を捉えてない場合が多いのです。翻訳などをしてみても、訳語を辞書から適当に引っ張ってきて「置いている」という感じで、結局意味が通じていないこともあります。これは、若い人が云々と批判をしているのではなく、そういう部分こそ、熟年層の英語を使う人たちがより得意とする分野ではないかと思うわけです。



ラテン語源の言葉を狙う

最近では「語数で英語がしゃべれる」とか「get だけで英語が話せる」といった英語のノウハウ本が書店に並んでいます。それはそれで、面白い取組みだと思います。しかし、その一方で、自分の気持ち、感情、考え方やコンセプチュアルな内容を説明する場合は、やはり無理があると思います。

get や take といった短い言葉はたいてい古ノルド語といったゲルマン系の語源を持っています。こういった動詞と前置詞などをいろいろ組み合わせていろんな意味を表現することができます。確かに覚える単語数としては少なくてすみます。しかし、その単語と組み合わせる前置詞によって意味が異なってくる、この組み合わせを覚えるほうが大変ではないかと思います。カンタンそうに見えますが、ややこしくてとても覚えるのも一苦労です。こういったイディオムはまさに、英語を母国語とする文化圏特有の言い回しの文化と言えるでしょう。

しかし、その一方で、技術マニュアルなどでは、こういった英語固有の言葉よりもラテン語系の言葉を使うのが常識です。というのは、ラテン語系の言葉は、英語固有の言葉に比べて、含蓄する概念の範囲が狭く意味がより明確であるからです。辞書を引いてもわかりますが、get や take という単語はどんな意味でも使えると思えるくらい広範囲に渡っており、焦点が絞れません。

get だけでも、ラテン語源の単語に置き換えると receive, obtain, acquire, attain などいろんな意味を含みますが、ラテン語源の単語はそれぞれの意味の守備範囲がはっきりしています。ですから、使ったときに誤解が少なく、意味が伝わりやすいのです。英語の技術マニュアルなどは、安全性に関する事項など命に関わる部分もありますから、いろんな意味に取れるようでは困ります。また、ラテン語系の言葉を使うことで、英語のネイティブではないフランス語、イタリア語、スペイン語などのラテン系言語を話す人にとってもわかりやすいというメリットもあります。

英語を国際語としてみた場合、固有の言葉ではなくラテン語源の単語を使うようにすべきだという考え方もあるようです。日本語に置き換えて見れば、ラテン語源は「漢字」、固有の言葉は「ひらがな(カタカナ)」ということができます。ひらがなは易しいが漢字は難しい。しかし、漢字はもともと象形文字ですから、意味がよくわかる。対してひらがなはフラットで、前後の脈絡的なつながりがなければ、それだけでは何を指しているのかわかりません。使いすぎはどうかと思いますが、漢字熟語を効果的に使うことで、会話や文章の成熟度が出てきます。それと同じように、ラテン語源の言葉を微妙に使い分けることで、英語を使う場合の「成熟度」も出てくるのではないかと思うのです。

知恵と洞察力で学ぶ

さて、では、熟年層としての英語の勉強法は?ということになりますが、何しろ中学校のころから英語はからっきしダメで、参考書を暗記して試験に備えました、という方ならやはり中学校レベルはいちおうクリアしておく必要があります。子供や孫の教科書のお下がりでもいいですから、紐解いてみます。文字通り ABC からのスタートです。日常使われるカンタンな単語は覚えておく必要があります。もちろん、意味だけでなく、発音も大切です。この場合、電子辞書やインターネットの辞書を使用することをお勧めします。インターネット上には各種英語のオンライン辞書があり、ちゃんと発音ボタンもついています。

電子辞書やオンライン辞書の発音ボタンを使って発音を聞きます。そして、そのとおりに真似をしてみます。とはいえ、熟年ともなると幼い子供が純真に真似をするというわけにはいきません。経験や知恵がついた分、全くの無垢の状態にはなれません。初心レベルからスタートという方は、ネイティブのような発音でなくても、[l] と[r]、[f]、[v]、[p]、[b]、「オー」と「オウ」、「アー」と「アイ」「エイ」の区別、あるいは [th] の発音など、日本語には無い音のポイントを押さえて発音できれば良いと思います。

また、ビジネスや人とのお付き合いのなかで、相手の人物なりを見極める、言葉の裏にある「ホンネ」を感じ取るといったことは、熟年世代にとっては、まさに世渡りの技。英語の学習においても、そういった知恵や洞察力をフルに活用することが大切だと思われます。ひとつの単語に接する場合も、人に向き合う場合と同じような態度で臨むわけです。

辞書の説明にざーっと目を通しながら、洞察力を働かせて、これはどんな性格の、どんな顔の言葉なのかということをつかむのです。生まれは(語源)はどこなのか?今どういう暮らし(実際の用法)をしているのか、といったことをゲーム感覚で想像してみます。英語の上達に比例して、より深いものが見えてくるのではないかと思います。日本語に当てはめると、あの言葉とこの言葉を合わせたような意味があるとか、この日本語にぴったりの表現であるとか、日本語に対する理解の深さがあれば、英語のニュアンスの深さも理解できるというものです。

こうして語彙がだんだん増えてきたところで、文法なども少しやっておきます。日本では文法ばかり教えるから英語の上達がないんだ、などと文法を軽視する向きもありますが、それは間違いです。文法は文章を作るときのルールですから、文法の知識がなければきちんとした文章は話せません。それこそ、赤ちゃん言葉で終わってしまいます。カタコト英語も愛嬌かもしれませんが、本気で英語を勉強したいというのであれば、文法は必要です。

第一、この年になって、幼児のような話し方では、相手に「親しみ」を感じてもらえたとしても、尊敬はしてもらえません。よく、福祉の場などで、看護に当たる人がお年寄りに対して、優しいのはいいんですが、まるで幼児に話しかけているような話し方が問題になることもあります。ここは、やはり、それなりの人生の先輩としてごく当たり前の「尊敬」というものを感じさせないようでは悲しいものがあります。

かといって、「英文法集成」などといった学術的な書物に取り組む必要もありません(好きな人は別ですが)。文章の成り立ちということで理解することが大切です。最初のころは、日本語と英語の文章構造は違うのだということを頭に置いたうえで、英語では、主語が来て、次に動詞、その次に関連する言葉が来るという大まかな理解で十分です。

たとえば、 This is a pen. という文章の this は近くのものを示す単語、is はそれの状態を表す動詞、 a pen は「ペンが1本」というわけです。英語では1つと2つ以上を表す概念を区別しているということを理解しながら、ペンが2本以上になると、These are pens. と主語も動詞も名詞の形もみな「複数用」に変わってしまうんだな、日本語では名詞や動詞で数の概念を表そうとはしないが、英語では厳密に表現しようとする言語なんだと改めて得心したり、学ぶことが楽しくなるはずです。

語彙も増えて、文法もわかってきたところで、実用英語の領域に入ります。会社勤めの方ならば、自社で作っている製品などの英文カタログがあればそれを読んでみるというのもひとつです。自分が営業で売っている商品名や特長などがどのように英語表現されているかがわかり、新たな愛着も湧いてくるでしょう。また、英語のドラマなどを英語だけで見てみます。もちろん、すべて理解しようなどとは思ってはいけません。

覚えた語彙や表現を総動員して、場面や人物の表情などを見ながら、どういうシチュエーションで、どんな展開が起こっているのかを洞察力で判断してみます。全く理解できなかったとしても、何か聞き取れるはずですし、吸収できたはずです。あるいは、英語のことわざコレクションという趣味もいいですね。辞書などの付録についていることわざを集めて、じっくり研究してみましょう。ことわざは、その文化圏における長い歴史や考え方によって培われた「知恵の宝庫」、深さの違いが出てくる分野です。こういったことを繰り返しながら、少しずつ上達してくるはずです。10年も立てば、それなりの「英語使い」になっていることでしょう。

長年の勘や知恵、洞察力をもって英語に挑む。日々黙々と坦々と。動かざること山のごとし(??)、まさに今が人生のクライマックス。柔軟なこころで知識を取り入れ、深く洞察して、知恵とする。おおらかさと優しさをもって、大いなる無限の「精神体」をめざして、「精神で鍛える英語学習」というのもいいかもしれません。



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