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英語何でも自由発言(3) |
マサ:ううーっ、タコくん、もう一杯。タコ:ヘイ、がってん。 マサ:ぐぐーっ。お代り。 タコ:だ、だいじょうぶっスか、マサさん。 ポポリン:そうよ、アンタ、ちょっと飲みすぎよ〜。 マサ:てやんでー、これが飲まずにおられよか。 タコ:あ、オヤジさんもどうぞ。ぐぐっと空けてくださいよ オヤジ:いやいや、どうもどうも…。じゃあ、タコさんもおひとつ。 タコ:あ、すいません。じゃ、管理人さんもどうぞ。 管理人:ありがとう。 ポポリン:ちょっと、アタシは?アタシも空いてるわよ〜。 タコ:あ、どもども、気がつきませんで…。 ポポリン:もう、ほんとに気が利かないんだから。アタシは、司会者よ〜! マサ:だからですねえ、翻訳に対する認識がなさすぎるっつーの! |
翻訳について
ポポリン:ちょっと、マサ、アンタ荒れてない?絡まないでよー。でさ、どうしたっていうの?なんか気に入らないことでもあったの?マサ:よくぞ、聞いてくれました。実は、去年の年末に翻訳の見積り依頼があったんだけど、普通の料金で出したら高すぎるとかで、よそに取られちゃったんだよ。最近はほんとに、世の中セコイ!せこすぎる! オヤジ:う〜ん、むずかしいですなあ。やっぱり発注側としては、どうしても見積りを取りますね。それもたいていは、二社以上の「あいみつ」って奴ですね。単価の安い仕事でも必ず「あいみつ」を取って、少しでも安いところに出す。そして、要求は目一杯するという傾向が続いています。そんな料金じゃやれません!なんて言ったって、他に業者はわんさといますからね。請ける方も、何も仕事をしないよりは、利益が出なくても仕事を請けたほうがいいといった風潮になっているわけです。 タコ:タコ、「あいみつ」って「愛蜜」って書くのかなと思ってました。「愛は蜜のように甘い」とか。 ポポリン:タコ、アンタ、茶化すんじゃないわよ。相手は真剣なんだから。 タコ:すいません、ぐす。 管理人:だから、お酒はどうかと思ったのよね。もうここら辺でお開きにしない? マサ:何を言うんですか、管理人さん。今、ボクらは大事なことを話し合ってるんですよ。それを「お開き」などと…! 管理人:はいはい、すいません。わたしも年かしらね、冷静になってしまうのよ。
オヤジ:でも、なんですねえ、翻訳ってのは地味なお仕事ですからねえ。裏方さんのお仕事ですよ、ほんと。舞台の真ん中でスポットライトを浴びて… っていうような華やかなもんじゃありませんよ。翻訳が上手ければ上手いほど、「翻訳」されているということを感じさせない。それが上手な翻訳ですよね。中には、「いかにも翻訳しました」ってなものもありますからねえ。もう原文の構文が飛び込んでくるような翻訳っていうかね、いえ、全部が全部悪いとは言いませんよ。でもね、翻訳先の言語においては、なんだか不自然な表現になっていたりしますね。それがこう、ぐぐっと引き立つ、目だってくるわけです。もちろん、不自然っていう意味で目立つんですよ。自然な表現になっていれば目立ったりしませんからね。もちろん、内容的に新奇なことを言っている場合は別ですよ。メッセージ自体が目立つわけですから。そうではなくて、ごく当たり前のことを言っているにもかかわらず、読んでいて「あれ?」とか「は?どういう意味?」などと思ってしまう。すんなり読めないわけですよ。ですから、翻訳においては、すーっと読めるということが良い翻訳の条件だろうと思うんですね。タコ:例えば、どんな表現があるんっスか。 オヤジ:そうですなあ…。いきなり言われてもなかなか思い出せないんですが、う〜ん、そうそう、例えばですね、英語で言うと "The system eliminates the machine operators duty of loading and unloading material and maintains consistent machine cycle times and gaging accuracy." という文章があったとしますね。それを日本語に翻訳してみましょう。まず、「そのシステムは、機械オペレータが材料の積み下ろしの義務を削除し、一貫した機械のサイクルタイムと計測の正確さを維持します」などという日本語の文章があったらどうでしょう?みなさん、一度ざっと聞いただけでわかりますか? タコ:内容がむずかしいんで、タコ、わかりません。でも、日本語になってるんじゃないっスか? マサ:確かにこれで日本語になっているからいいとするところが、意識が低いと思うんですよ。学生とかの英作文じゃないんですよ。これじゃ、プロの翻訳としては、ボク的には認められません! オヤジ:ままま、マサさん、そう興奮してはいけませんな。これくらいの翻訳で十分だというお客さんなら、安い翻訳料金でもいいと思うんですよ。
管理人:でも、確かに、このレベルのものが「翻訳」だという認識が世間一般の認識かもしれませんね。意味がわかればいい、と。でも、こういった文ばかりが続いている文書を延々と読むのは疲れますね。この文章ひとつだったら、集中して理解しようとしますけど、こういうのがずーっと続いていたらもう読む気がしません。それよりむしろ、原書のほうを読んだほうが数倍ラクかもしれませんね。日本語として「くどい」というのか、「義務を削除」という言い方も、そりゃ日本語としては間違いとは言えませんが、普通やらないですよね。マサ:翻訳料金が安いとか高いとかいうことは別にしても、お金をもらって仕事をするプロの翻訳なら、日本語として自然に読める表現というのが最低限のボーダーラインだと思いますけどね。「そのシステム」と主語をわざわざ入れるのも日本語らしくないですね。きっとこの文章が出てくる前にタイトルだとか、商品名だとかがわかっているはずなので、そのシステムなんてやったら、かえって「え?何のこと?」というふうに、そこで止まってしまうんですよ。英語の The system というのは、コンテクストのなかで、すでに出てきている、あるいは読む人も当然了解済みのモノを指しているはずだし、わざわざ出す必要もないんだけど、英語は主語を省ける言語じゃないから外せない。しかし、日本語は主語を省く言語だから、わかっているものに関して「そのシステム」なんていう主語をつける必要はないと思うんだよね。 ポポリン:そうよね〜、日本じゃさあ、余計なことしゃべるのはあまり良くないのよね〜。アタシなんかしょっちゅう怒られるわよ。 マサ:いや、そんな話じゃないでしょう、ポポリンさん。 タコ:あのう…、ボク、よくわかんないんっスけど、じゃあ、さっきの翻訳の代わりにどんな表現だったらいいんっスか? オヤジ:それはですね、やはり、いろんな表現法があると思いますよ、タコさん。昔から言いますよ、「すべての道はローマに通ず」 (All ways lead to Rome.) 。あ、ちょっと意味が違いますね、すいません、すいません。 マサ:例えば、ボク的にやるとしたら、「オペレータが材料の積み下ろしをする手間も省け、マシンのサイクルタイムも一定、一貫して正確な計測を行うことができます」っていうところかな。いや、今ざっと考えただけだから細かいところはなんとも言えないけど。 ポポリン:タコ、アンタ、違いがわかる? タコ:え〜と…、わかりません。 マサ:ええーっ?!どうしてわからないかなあ! オヤジ:ままま、マサさん、興奮しないで。 ポポリン:単なる思い込みだったりして…。 マサ:タコくん、お酒! タコ:へ、ヘイ、がってん。 管理人:いや、わたしはずいぶんわかりやすくなっていると思いますよ。どうですか、オヤジさん。 オヤジ:そうですね、それは認めます。見慣れた日本語を読んでいるなという「安心感」が湧いてきますね。わたしも、さっき例であげた日本語の文章は良くない例だと思いますし、翻訳はやはりいかに表現を工夫するかだとは思うんですよ。文章なんかも途中で切っちゃって短くしてもいいと思います。なかには、翻訳元の文章が1つの文章だったら、翻訳先の文章も1センテンスにしなきゃならないとか、コンマやピリオドの位置まで合わせるのが「忠実で良い翻訳」と思っている人もいるみたいですしね。ただですねえ、むずかしいところは、こういった差みたいなものをあまり意識しない人が多いということですよ。やっぱりですね、お仕事というのは、たとえ翻訳と言えども、お客さんあってのもの。昔から言いますよ、「お客さまは神さまです」 (Customers are always right.) ってね。お客さんがそれでいい、と言ったら「良し」としたらいいんじゃないですかねえ。こういう考え方って、どうなんでしょうかねえ、古いんですかねえ…。 マサ:いや、オレは、革命を起こすんだ!翻訳革命を起こしてやる! ポポリン:うわーっ、こわーい!大変なことになってきたわよ〜。
タコ:あのう…、ボクよくわからないんですけど、ボクみたいに英語が苦手な人間は、最初からわからないと思うから、翻訳された文章なんて細かく見なかったんですよ。横文字が日本語になっていたらいいとか、日本語が横文字になっていたらいいという態度ですね。だって、わかりませんから。その他にも仕事があったりすると、翻訳は翻訳者にまかせて、みたいな感じでいちいちチェックしたりしないですよね。管理人:まあ、それはそうね。まかせなきゃ仕方ないもんね。むしろそれが一般的でしょう。 タコ:でも、ボクも英語、少し勉強し始めたりして、この前、カンタンな文章を翻訳したものがあったので、辞書を引きながら読んでみたんです。そりゃあもう、感心しましたよ。日本語の意味をよく読み取って、上手く英語で表現しているんですね。文章の言い方っていうのか、表現方法みたいなのは日本語とは違ってるんですけど、ああ、英語で言うと、なるほど、こういう感じになるんだなって。よくわからないんですけど、よく考えて工夫してるんだなって感じました。だから、マサさんの言うように、こんなに工夫したり、考えたりしてるんだったら、翻訳料金ってやっぱりもうちょっと高くてもいいんじゃないかなって思ったんです。 ポポリン:ちょっと、アンタ、いきなり、どこの回し者って感じね。ねね、マサ、アンタ、翻訳料金いくら取ってんの? マサ:それは、企業秘密だから、言えません。 管理人:いま、タコちゃんの意見があったけど、やはり、一般的な英語力がアップすれば、それなりにどんな翻訳が良いのか、悪いのかっていうこともだんだんわかってくるかもしれませんね。 オヤジ:そうそう、そういう地道な取組みがあって、状況が少しずつ変わってくるもんなんですよ。 マサ:そんなの待ってたら、そのうち、ボクはもう定年退職になってしまいますよ。 ポポリン:ああ、いいわねえ。定年退職。ステキ、もう仕事しなくってもいいんだから。あこがれちゃう! オヤジ:いやいや、ポポリンさん。今どき、そんな甘いもんじゃありませんよ。年金なんてもらえるかどうかもわからない時代ですからねえ。 ポポリン:ええーっ、そんなのフェアじゃないわよ〜。アタシなんかずーっと払ってきたのに!税金もたくさん払って…。アタシのお金、返して〜! オヤジ:いやしかし、翻訳も大変なもんですよ。 タコ:あのう…、ボクよくわからないんですけど、翻訳支援ツールとかで、なんかいろいろありますよね。「トラです」(仮名)とか…。あんなのってどうなんっスか?翻訳なんかがすごく速くできて便利だとか言われてますけど。 オヤジ:う〜ん、あれはですね、翻訳メモリを使った置き換えソフトなんですよ。 ポポリン:以前に訳しておいた文章を使って翻訳料金を節約しようっていうソフトでしょ。 オヤジ:いやあ、翻訳料金を削減するだけじゃなくて、表現の統一ということもありますな。つまり、以前に翻訳した文章と同じ箇所を探してそれを使えば、新しく翻訳しなおす手間も省けるということです。 タコ:つまり、翻訳文章のリサイクルっスか? マサ:そういうことだね。マニュアルなんかで同じような文章がよく出てくるから、前に訳したものを再利用しようという発想だね。でも、あれはあれで、置き換えのスピードが遅いとか、文章単位でしかメモリに格納できないとか、柔軟性がない部分もあるようですね。しかも、あのソフトは高い。 管理人:わたしも自作の置き換えソフトを使ってますけど、確かに便利な部分はありますね。同じ文章は全部勝手に置き換えてくれるから。 タコ:管理人さんは何ていうソフトを使ってるんっスか? 管理人:わたしのは、そんなに本格的なものじゃありません。MSワードのマクロで作った単純な検索・置き換えプログラムです。名前は、えーっと、そうそう、「変換ガエル・ぴょんきち」って言うんですけどね。 オヤジ:ほほう…、おもしろい名前ですなあ、初めて聞きました。 ポポリン:なんで、カエルなのさー? 管理人:「置き換える」から「カエル」。 オヤジ:ほほう!シャレが効いてますねえ、今度わたしにもひとつ、使わせてくださいな。 管理人:ええ、どうぞどうぞ。 マサ:いや、翻訳は大変なんです!裏方は大変なんです!縁の下の力持ちなんて言いますけどね、ボクにはもう力がない〜!! ポポリン:やだ、かなり来てるみたいね、もうお酒ないの? オヤジ:まあ、みなさん、お正月ですし、ご家族のみなさんとの一家だんらんもあるでしょう。ここら辺でお開きにしてはどうですか? ポポリン:やだ〜、つまんない、タコ、どんどんついでよ。 タコ:ヘイ!がってん。 ![]() ポポリン:あー、いい気分ねー、もう絶好調! おわり |