英語の発音ってむずかしそう。辞書に書かれている訳のわからない記号もさっぱり… 学校でもとくに教えてくれるわけでもないし…。そんなあなたも、この機会にちょっとだけ頑張って、英語の発音をマスターしてみましょう。


Last update June 26, 2016



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Last update June 26, 2016


アメリカ英語の発音

一般的な傾向と特徴

一言でアメリカと言っても広く、発音も地域によって異なるため、ここでは「標準アメリカ英語」を中心に説明を進めていきます。「標準アメリカ英語」とは、アメリカ南部やイギリス英語の影響が強い北東部(Northeastern:Maine, New Hampshire, Vermont, Massachusetts, Rhode Island, Connecticut, New York, New Jersey, Pennsylvania)以外の地域で話されている、アフリカ系アメリカ英語を含まない英語の発音と定義します。

では、さっそくアメリカ英語の発音についてみてみましょう。

アメリカ英語の母音
アメリカ英語の母音のイメージは以下のようになります。


 アメリカ英語の二重母音
二重母音 /eɪ/ /aɪ/
単語例 face price
二重母音 /ɔɪ/ /oʊ/
単語例 choice goat
二重母音 /aʊ/ /ɪɚ/*
単語例 mouth near
二重母音 /ɛɚ/* /(j)ʊɚ/*
単語例 square cure
* 厳密には二重母音とは言えませんが、他の英語圏との比較のため、ここに表記しています。

●上の図には、英和辞典でも見慣れない発音記号が含まれています。それには黒い文字で括弧書きで、通常辞書などで使われている表記を記しています。
●たとえば、/ɝ//ɚ/ は、アメリカ英語特有の「r」の音を伴う音を表します。また、これら両者の音の違いは、前者が、bird や work などのアクセントのある音を表し、後者は、dinner、water など、アクセントのない「あいまい母音」/ə/ に「r」が伴われた音になります。


アメリカ英語発音特徴表
また、アメリカ英語の発音の特徴を表にすると、以下のようになります。

「r」の発音 母音の特徴 子音の特徴
ロウティック (Rhotic)  緊張した /æ/ の音 (/Æ/ tensing)
 強勢のない母音の同化 (Weak-vowel merger)
 father と bother の同化 (Father–bother merger)
 cot と caught の同化 (Cot–caught merger)
 cork と quark の同化 (Cork–quark merger)
 Mary、marry、merry の同化 (Mary–marry–merry merger)
 hurry と furry の同化 (Hurry–furry merger)
 mirror と nearer の同化 (Mirror–nearer merger)
 horse と hoarse の同化 (Horse–hoarse merger)
 pin と pen の同化 (Pin–pen merger)
 fern、fir、fur の同化 (Fern–fir–fur merger)
 trap と bath の分裂 (Trap–bath split) の不在
 /t/ や /d/ の母音間歯茎はじき音化 (Intervocalic alveolar flapping)
 暗い /l/ の発音 (Dark /l/)
 /j/ の脱落 (Yod-dropping)
 /t/ の声門破裂音化 (T-glottalization)
 wine と whine の同化 (Wine–whine merger)

ロウティック (Rhotic) の「r」
アメリカ英語の最も顕著な特徴は、母音の後に「r」のスペルがあれば、その/r/ の音をすべて発音するという rhotic(ロウティック)アクセントです。イギリス英語やオーストラリア英語などは、母音の後に「r」のスペルがあっても発音しません(「r」の後に母音が来る場合は別)。

/r/ の音を発音するといっても、日本語でいえば「らりるれろ」の音が追加されるということではありません。これまで実際の発音のコーナーで説明しましたが、英語の /r/ の音接近音ですので、母音の後に来る場合で音節の最後の文字でもある場合は、「あー」といった感じに聞こえます。たとえば、強引に表記すると、bar 「棒」という単語は、標準的には「バー」ですが、アメリカ英語では「バーR」、water 「水」「ウォータ」が「ウォータR」といった音に聞こえるというわけです。実際には、舌先を少し後ろに巻くような感じで発音します。

この「r」を IPA の発音記号で表記すると、以下のようになります。
単語 標準 アメリカ式
water /wɔtə/ /wɔtɚ/
bar /bɑ/ /bɑɚ/

この /r/ の音がここかしこに出てくるのがアメリカ英語の特徴で、格調高いブリティッシュ・イングリッシュを話す人たちの中には、「あんなのは英語ではない」などと言う人もいるようですが、どっこい、この「r」のスペルを発音するというのは、もともとはイギリス英語の特徴でした。つまり、メイフラワー号 (the Mayflower) に乗ったピリグリム・ファーザーズ (Pilgrim Fathers) を皮切りにアメリカ移民が始まった17世紀のイギリスでは、「r」を発音する rhotic アクセントが用いられていたのです。それがそのままアメリカ英語の標準的発音として定着していくことになります。

冒頭で述べた「標準アメリカ英語」以外の英語では、non-rhotic の発音が用いられています。初期にアメリカ移民たちが到着した東海岸のニューヨークやボストン地域などの発音・アクセントがそうです。それは、この地域が、移民後も本国イギリスとの密接な関係を維持し、イギリスでの発音の変化などを取り入れていたからだと言われています。その他、南部の州でも、もともとは non-rhotic でした。しかし、今では「r」を発音しないのは高齢者の話者くらいになってきており、ほぼアメリカ全体的に「r」を発音しないのは、古い世代の英語であるとか、あるいは、中流以下のアクセントだと見る向きもあるようです。

母音間歯茎はじき音
もうひとつのアメリカ英語の発音の特徴として、母音に挟まれた強勢のない音節の /d/ や /t/ が「ら行」に近い音になるという傾向があります。専門的には、母音間歯茎はじき音 (Intervocalic alveolar flapping) と言いますが、たとえば、前述の例の water の「t」の発音を「ラ」のように発音して「ワラ」と聞こえるあの音です。IPA の発音記号では、/ɾ/ という「r」の欠けたような表記で表されます。実際の発音は、舌先を上の歯ぐきの裏側に軽くたたきつけるようにして出します。

暗い /l/ の発音
イギリス英語が明るい /l/ と暗い /l/ を使い分けるのに対して、アメリカ英語ではあまり区別がみられず、すべての /l/ が暗い /l/ で発音さる傾向があります。これら2種類の発音については、明るい /l/ と暗い /l/ (Light /l/ and dark /l/) をご覧ください。

緊張した /æ/ の音
さらに、地域によっても異なりますが、/æ/ の音が強調されて「エア」という二重母音に近くなる緊張した /æ/ の音 (/Æ/ tensing) がみられます。bath、man、lamp など単語に含まれる /æ/ を発音するときに舌の位置が上がり、音自体も長くなり、「バス」、「マン」、「ランプ」の音がそれぞれ「ベアス」、「メアン」、「レアンプ」に近くなります。これも、主にアメリカ英語にみられる特徴です。

/j/ の脱落
new、duke、Tuesday などに含まれる /j/ の音が落ちる /j/ の脱落 (Yod-dropping) もアメリカ英語の特徴のひとつです。/j/ の音が落ちることで、new が「ヌー」、duke が「ドゥーク」に近い発音になります。

/t/ の声門破裂音化
最近ではイギリスの RP でもみられる傾向として、/t/ の声門破裂音化 (T-glottalization) という特徴があります。アメリカ英語では、/n/ などの鼻音の前後にくる /t/ の発音が影響を受けます。最近の若い世代では、pick it up や what など、母音の前や語尾の /t/ にもこの傾向がみられます。






発音の同化と分裂

アメリカ英語における発音の同化 (merger) と分裂 (split) の傾向をまとめると以下のようになります。

発音の同化
 強勢のない母音の同化
強勢のない「i」の音があいまいな「ア」(/ə/) で発音されるという強勢のない母音の同化 (Weak-vowel merger) がみられます。その結果、たとえば、abbot と rabbit のような単語が韻を踏みます。

単語 アメリカ英語 イギリス英語
abbot /æbət/ /æbət/
rabbit /ræbət/ /ræbɪt/

 father と bother の同化
イギリス英語では区別されている /ɑ/ (father) と /ɒ/ (bother) の音がアメリカ英語では、どちらも /ɑ/ の音で発音される father と bother の同化 (Father–bother merger) がみられます。

単語 アメリカ英語 イギリス英語
father /fɑðɚ/ /fɑðə/
bother /bɑðɚ/ /bɒðə/

 cot と caught の同化
イギリス英語では区別されている /ɒ/ (cot) と /ɔ/ (caught) の音がアメリカ英語では、どちらも /ɔ/ の音で発音される cot と caught の同化 (Cot–caught merger) がみられます。

単語 アメリカ英語 イギリス英語
cot /kɔt/ /kɒt/
caught /kɔt/ /kɔt/

 cork と quark の同化 (Cork–quark merger)
アメリカ英語独特の特徴として、/kɔr/ と /kwɔr/ が同化する cork と quark の同化 (Cork–quark merger) がみられます。

単語 アメリカ英語 イギリス英語
cork /kɔk/ /kɔk/
quark /kɔk/ /kwɔk/

 「r」の前の母音の同化
母音にはまされた「r」の前の母音が同じ発音になるという Mary、marry、merry の同化 (Mary–marry–merry merger)hurry と furry の同化 (Hurry–furry merger)mirror と nearer の同化 (Mirror–nearer merger) といった特徴がみられます。
Marymarrymerry が同音(Mary、marry、merry の同化)
単語 アメリカ英語 イギリス英語
Mary /mɛri/ /mɛəri/
marry /mɛri/ /mæri/
merry /mɛri/ /mɛri/

●hurry、furry が韻を踏む(hurry と furry の同化)
単語 アメリカ英語 イギリス英語
hurry /hɝri/ /hʌri/
furry /fɝri/ /fə(ɜ)ri/

●mirror、nearer が韻を踏む(mirror と nearer の同化)

単語 アメリカ英語 イギリス英語
mirror /mɪrɚ/ /mɪr.ə/
nearer /nɪrɚ/ /nɪərə/

また、母音の前の /ɔ/ や /o/ が同化する horse と hoarse の同化 (Horse–hoarse merger) という特徴もみられ、それによって、下記の単語のペアが同じように発音されます。
horsehoarse が同音
forfour が同音
morningmourning が同音

単語 アメリカ英語 イギリス英語
horse /hɔs/ /hɔs/
hoarse /hɔs/ /hɔəs/

 鼻音の前にくる母音の同化
その他、鼻音の前にくる母音が同化する pin と pen の同化 (Pin–pen merger) という特徴もありますが、これは本来南部アメリカ英語の特徴で、中西部や西部アメリカでも一部みられます。

 fern、fir、fur の同化
ほとんどの国の英語に該当する特徴ですが、「r」の前の /ɛ/、/ɪ/、/ʊ/ が同化して同じ発音になる fern、fir、fur の同化 (Fern–fir–fur merger) がみられ、アメリカ英語では /ɝ/ となります。

 wine と whine の同化
他の英語圏でも一般的な傾向になっていますが、what や which などの「wh」の部分の発音が wine などの「w」の音と同化する wine と whine の同化 (Wine–whine merger) がアメリカ英語でも広がりつつあります。南部や西部ではまだ区別している地域もあります。

発音の分裂
 trap と bath の分裂の不在
イギリス英語では、/æ/ の音が /f/、/s/、/θ/、/ð/、/z/、/v/、または鼻音の前にくる場合、/ɑ:/ に変化するという傾向があり、これを trap と bath の分裂 (Trap–bath split) といいますが、この傾向は、アメリカ英語では見られません。

単語 アメリカ英語 イギリス英語
trap /træp/ /træp/
bath /bæθ/ /bɑθ/

 /ɔ/ の分裂
イギリス英語では /ɔ/ で発音されている単語が他の母音で発音される傾向があります。
/ʌ/ で発音されている例
  was、 of、 from、 what、
/ʌ/ または /ɔ/ で発音されている例
  because
/ɔ/ または /ɒ/、ないし /ʌ/ で発音されている例
  want


参考サイト

発音以外のアメリカ英語の特徴については、「世界の英語」コーナーのアメリカ英語をご覧ください。

また、アメリカ英語の発音については、下記のサイトが参考になります。

http://www.soundsofenglish.org/pronunciation/index.htm
アメリカ英語の発音方法を図(写真)とサウンドファイルを使って解説しています。

http://fonetiks.org/engsou2am.html
母音の発音記号にカーソルを当てると、その発音を含んだ単語のアメリカ式発音が聞けます。


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