英語の発音ってむずかしそう。辞書に書かれている訳のわからない記号もさっぱり… 学校でもとくに教えてくれるわけでもないし…。そんなあなたも、この機会にちょっとだけ頑張って、英語の発音をマスターしてみましょう。


Last update March 26, 2015



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Last update March 26, 2015


発音の地域差について

ところ変われば発音変わる

まずジョークをひとつご紹介しましょう。

三人の異なる英語圏の女性(別に男性でもいいのですが)が話をしていた。

A:「今日はウィンディー(風が強い)だわね」
B:「いいえ、サースディ(木曜日)よ」
C:「そうね、わたしもサースティ(喉が渇いた)よ。何か飲み物でもどう?」

なんだか英語のダジャレみたいですが、英語のネイティブ同士でも、地域や国によってこんな誤解が起きるというおもしろい例だと思います。ということで、このステップでは、いろんな国や地域の英語の発音について簡単にまとめています。

日本語にもいろんな方言があるように、一言で英語と言っても国や地域が変われば、そのイントネーションや発音が違ってきます。学校でもアメリカ英語を基準として教えている日本人にとって、それ以外の国の英語はなかなか聞き取りにくいものです。ある国の人には通じた単語が別の人にはなかなか通じないといったこともあります。そこで、つい、「ああ、自分の英語はまだまだだ…」と自信をなくし、さらに猛勉強に励むというのも結構ですが、ある程度の地域や国の差を押さえておくことで、より理解し合えるということもあります。

各国(あるいは地域別)の発音の特徴を考える基準として、1)母音の発音の特徴、2)音節語尾の「r」のスペルを発音するかしないか(rhotic か non-rhotic)、そして3)子音の発音の特徴の3つが挙げられます。


母音の違い

いろんな国や地域の発音に顕著な特徴が表れるのが母音の発音です。というのも、母音は、調音器官のうち舌の位置や唇の形(唇を丸めるか丸めないか)だけで発音される音です。歯や歯茎までを動員して摩擦音や破裂音、鼻音などの手ごたえのある子音とは異なり、本来あいまいな性質のものだと言えるでしょう。たとえば「舌の位置が中間くらいの高さで」などと言われても、「口の天井から何センチ」など舌の位置を測るわけにもいきませんから、「だいたいこれくらいかな」という主観的な感覚で発音しているはずです。アルファベットのルーツがアブジャ― (Abjad) という子音だけの文字だったことも、これと照らし合わせると興味深いものがあります。

発音を学ぶ側にとっても、母音の発音というのは、その微妙さゆえにむずかしいものがあります。言い換えれば、国や地域、ひいては個人によっても、微妙な違いが出てくるのは当然かもしれません。気候によっても、寒い地域であれば、冷たい空気が入ってくるのを最小限に抑えるため、できるだけ口を開けないで発音することも考えられます。また、土着の言語や接触のあった言語による影響もあるかもしれません。どんな影響があってこのような発音になったという相関関係が成り立つかどうかは別にして、国や地域ごとに母音の顕著な特徴がみられるのは事実です。

以下、Day、Price、Boat、About、Boy の単語が各国でどう発音されるかを比較してみましょう。なお、表中のカタカナ表記は参考であり、実際の発音を正確に反映しているわけではありません。

ST: 標準(英和辞典の表記)/ UK: イギリス英語 / AM: アメリカ英語 / CA: カナダ英語 / AU: オーストラリア英語 / NZ: ニュージーランド英語 / SC: スコットランド英語 / IR: アイルランド英語 / WS: ウェールズ英語
単語 Day Price Boat About Boy
ST /deɪ/
 デイ
/prɑɪs/
 プライス
/boʊt/  ボウト /əbɑʊt/
 アバウト
/bɔɪ/
 ボーイ
UK /dɛɪ/
 デイ
/prɑɪs/
 プライス
/bəʊt/
 バウト
/əbɑʊt/
 アバウト
/bɔɪ/
 ボーイ
AM /deɪ/
 デイ
/prɑɪs/
 プライス
/boʊt/
 ボウト
/əbɑʊt/
 アバウト
/bɔɪ/
 ボーイ
CA /deɪ/
 デイ
/prʌ(ɒ)ɪs/
 プライス
/boʊt/
 ボウト
/əbʌ(ɛ)(o)ʊt/
 アバ(ベ/ボ)ウト
/bɔɪ/
 ボーイ
AU /dæɪ/
 ダイ
/prɑes/
 プラエス
/bəʉt/
 バウト
/əbæɔt/
 アバオト
/boɪ/
 ボーイ
NZ /dæe/
 ダエ
/prɐes/
 プラエス
/bɑʉt/
 バウト
/əbæɔt/
 アバオト
/boe/
 ボーエ
SC /de/
 デー
/prəi(ae)s/
 プライ(エ)ス
/bot/
 ボート
/əbɘʉt/
 アブウト
/boi/
 ボーイ
IR /de/
 デー
/prɔɪs/
 プロイス
/bot/
 ボート
/əbæ(ɛ)ut/
 アバ(ベ)ウト
/bo(ɒ)ɪ/
 ボ(バ)ーイ
WS /dei/
 デイ
/prais/
 プライス
/bot/
 ボート
/əbaut/
 アバウト
/bɒi/
 バーイ

その他、各地域の母音の発音の特徴として、もともと同一だった発音が別の発音に枝分かれしたり、逆に別々の発音が同じような音で発音されるようになったりする母音の変化が挙げられます。枝分かれすることを split と呼び、同一化することを merger と呼んでいます。これについては、母音の変化についてを参照ください。



rhotic (ロウティック) と non-rhotic (ノン・ロウティック)の発音

英語の発音のバリエーションの大きな分類として、音節の最後に「r」のスペルがある場合、
   i) 「water」など、母音の後に「r」のスペルがあればとにかく「r」の音を発音する
   ii) 母音の後に「r」のスペルがあっても母音だけしか発音しない(ただし、その後に母音が来る場合は発音する)


という二つの様式があります。専門的には i) のような発音を rhotic (ロウティック)、ii) を non-rhotic (ノン・ロウティック)と呼んでいますが、アメリカの標準英語やスコットランド、アイルランド英語は rhotic 、イギリス英語をはじめウェールズ、オーストラリア、ニュージーランド英語は non-rhotic です。

また、 non-rhotic の発音では、このような「r」のスペルを発音しないということから、次のような傾向が見られます。

 母音をつなぐ /r/ の音が発生する
これを専門的に「linking R (つなぎの R)」と呼んでいますが、最初の単語の語尾「r」の後に母音が来たときに /r/ を発音することで、たとえば、"Here I am" を「ヒア・ライ・アム」のように発音します。

 発音しやすくするため /r/ の音を挿入する
専門的には「intrusive R (侵入の R)」と呼びますが、最初の単語の語尾が「w」や「y」、あるいは母音で終わる場合、次に来る単語の最初が母音であれば発音がしにくくなり、文章がなめらかに続きません。そのため、「r」のスペルで終わっているわけではないのですが、たとえば、"the idea of it" を /r/ の発音を入れて「アイデア・ロヴ・イット」といった発音をします。

 「r」を発音しないことで同音化する単語
音節語尾の「r」を発音しないことで、father と farther、caught と court などの単語が同化する傾向がみられます。詳しくは、「母音の変化について」の non-rhotic (ノン・ロウティック) による発音の同化をご覧ください。


子音の違い

母音にも言えることですが、子音の発音も歴史のなかでさまざまな変化を遂げてきました。ご存知のように、かって英国は世界各地に植民地を持っており、その植民地の多くが現在の英語圏の国として存在しています。そして、その当時イングランドで使われていた英語がそのまま植民地にもたらされたわけですが、言葉は変化します。植民後に本国イングランドで起こった言葉の変化が植民地の英語にも反映されるかどうかは、両者の結びつきの深さによって異なります。むしろ、独立などによって疎遠になるのが当然だと言えるでしょう。こうして、本国での変化以前の特徴がそのまま残っていたり、新しい土地の土着性などに影響され独自の変化を遂げながら、各国(地域)の英語が確立されてきたのです。

母音ほどの多様性はありませんが、たとえば、ほとんどの地域では区別しない what や which などの wh- における /h/ の音を発音して「フウァット」、「フウィッチ」のようになる傾向や、tune、dew などの /j/ の音が落ちて「トゥーン」、「ドゥー」のように聞こえるなどの特徴が挙げられます。具体的な子音の違いについては、子音の変化についてをご覧ください。