英語の発音ってむずかしそう。辞書に書かれている訳のわからない記号もさっぱり… 学校でもとくに教えてくれるわけでもないし…。そんなあなたも、この機会にちょっとだけ頑張って、英語の発音をマスターしてみましょう。


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ニュージーランド英語の発音

一般的な傾向と特徴

ニュージーランドは、カナダやオーストラリアと同様、イギリス連邦(The Commonwealth of Nations)のメンバーです。地理的にもオーストラリアに近いことから、オーストラリア英語の発音の特徴と非常に似ています。

とは言え、微妙な違いもあり、その1つとして挙げられるのが、第二次大戦後特に顕著になった「i」の音の違いがあり、ニュージーランド英語の「i」の発音は、弱くあいまいな音になります。下の母音(単母音)イメージ図をご覧いただけばわかりますが、他の国の英語にみられる短母音の /ɪ/ や /i/ の発音は /ɘ/ の音で発音され、長母音としての /iː/ があるだけです(二重母音には /iə/ の音があります)。

では、さっそくニュージーランド英語の発音の特徴を見てみましょう。

ニュージーランド英語の母音
ニュージーランド英語の母音のイメージは以下のようになります。


 ニュージーランド英語の二重母音
二重母音 /æe/ /ɐe/
単語例 face price
二重母音 /oe/ /ɐʉ/
単語例 choice goat
二重母音 /æo/ /iə/
単語例 mouth near
二重母音 /eə(iə)/ /(j)ʉ.ɐ/
単語例 square cure

●上の図および表には、英和辞典でも見慣れない発音記号が含まれています。それには黒い文字で括弧書きで、通常辞書などで使われている表記を記しています。
●たとえば、/ʉː//ɵː/ は、辞書の表記ではそれぞれ、/uː//əː/ の表記になりますが、実際の発音では、それらより舌の位置が前に来たり、口の開け方が小さくなります。
●「a」を逆さにした /ɐ//a/ の発音よりも舌の位置が中央に引き、口の開け方が小さくなります。
●最初の説明にあるように、/i//ɪ/ の音は、口の大きさを小さめに半分くらい開け、舌の前後の位置を中央に置いて発音する /ɘ/ の音になります。
●また、長母音の /iː/ の矢印は、舌の位置が矢印の方向に変化することを表しており、その意味では二重母音と捉えることができます。


ニュージーランド英語発音特徴表
また、ニュージーランド英語の発音の特徴を表にすると、以下のようになります。

「r」の発音 母音の特徴 子音の特徴
ノン・ロウティック (Non-rhotic)  独特の母音の発音
 強勢のない母音の同化 (Weak-vowel merger)
 happy の語尾音の強調 (Happy-tensing)
 「l」の母音化 (L-vocalization) による母音の同化
 doll と dole の同化 (Doll–dole merger)
 full と fool の同化 (Full–fool merger)
 salary と celery の同化 (Salary–celery merger)
 near と square の同化 (Near-square merger)
 fern、fir、fur の同化 (Fern–fir–fur merger)
 horse と hoarse の同化 (Horse–hoarse merger)
 trap と bath の分裂 (Trap–bath split)
 pure と poor の分裂 (Pure–poor split)
 /t/ や /d/ の母音間歯茎はじき音化 (Intervocalic alveolar flapping)
 /j/ の合体 (Yod-coalescence)
 /j/ の脱落 (Yod-dropping)
 「l」の母音化 (L-vocalization)
 暗い /l/ の発音 (Dark /l/)
 wine と whine の同化 (Wine–whine merger)

音節語尾の母音の後の「r」は発音しない (non-rhotic)
ニュージーランド英語は、一般的には、イギリス英語やオーストラリア英語と同じく、「r」のスペルを発音しない non-rhotic (ノン・ロウティック) で、「linking R (つなぎの R)」「intrusive R (侵入の R)」といった現象が起こります。しかしながら、スコットランド英語の影響の強いサウスランド(Southland)では rhotic の発音が使われています。また、non-rhotic の話者であっても、Ireland、merely、err、アルファベットの R など、母音の前に来ない「r」を発音する話者もみられます。

母音間歯茎はじき音
アメリカ英語やオーストラリア英語の発音のように、母音に挟まれた強勢のない音節の /d/ や /t/ が「ら行」に近い音になるという母音間歯茎はじき音化 (Intervocalic alveolar flapping) がみられます。

/j/ の合体
オーストラリア英語と同様に、/tj/ や /dj/ の子音が口蓋化することで、2つの子音が /ʧ/ や /ʤ/ に合体する /j/ の合体 (Yod-coalescence) という現象がみられます。

/j/ の脱落
また、オーストラリア英語と同様に、/j/ が落ちる /j/ の脱落 (Yod-dropping) の傾向もみられます。

「l」の母音化
語尾にくる /l/ の音が母音化し、/w/、/o/、/ʊ/ などに近い音で発音される 「l」の母音化 (L-vocalization) がみられます。

暗い /l/ の発音
イギリス英語が明るい /l/ と暗い /l/ を使い分けるのに対して、ニュージーランド英語ではすべての /l/ が暗い /l/ で発音されます。これら2種類の発音については、明るい /l/ と暗い /l/ (Light /l/ and dark /l/) をご覧ください。

happy の語尾音の強調
オーストラリア英語にもみられますが、ニュージーランド英語でも、happy の語尾のようなゆるい /ɪ/ の音が強調され /i/ の音で発音される happy の語尾音の強調 (Happy-tensing) がみられます。




発音の同化と分裂

ニュージーランド英語における発音の同化 (merger) と分裂 (split) の傾向をまとめると以下のようになります。

発音の同化
 強勢のない母音の同化
オーストラリア英語と同様に、強勢のない「i」の音があいまいな弱い母音で発音されるという強勢のない母音の同化 (Weak-vowel merger) がみられます。

「l」の母音化 (L-vocalization) による母音の同化
「l」の母音化 (L-vocalization) により、その前にくる母音が同化するため real、reel、rill が同じように発音されるようになります。オーストラリア英語などの他の国の英語と比較してみると次のようになります。また、この場合、下の表の /ɪ/ の発音は、最初に述べた /ɘ/ の音ではなく「イ」の音で発音されます。

単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
real /rɪw/ /rɪəl/ /rɪəl/ /rɪəl/
reel /rɪw/ /rɪil/ /ril/ /ril/
rill /rɪw/ /rɪl/ /rɪl/ /rɪl/

「l」の前にくる母音の同化
 doll と dole の同化
/l/ の前にくる /ɒ/ と /ɒʊ/ の音が同化し、その結果、doll と dole が同音になる doll と dole の同化 (Doll–dole merger) がみられます。

単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
doll /dɒʊl/ /dɔl/ /dɒl/ /dɔl/
dole /dɒʊl/ /dəʉl/ /dəʊl/ /doʊl/

その他、/l/ の前にくる母音の同化として、以下のような例が挙げられます。

●/l/ の前にくる /ʊ/ と /u:/ の音が同化する full と fool の同化 (Full–fool merger) がみられ、その結果、pull と pool、full と fool が同音になり、それぞれ「プル」、「フル」に近い音になります。

●オーストラリアの一部でもみられる傾向ですが、/l/ の前にくる /æ/ と /ɛ/ の音が同化する salary と celery の同化 (Salary–celery merger) がみられ、その結果、salary と celery、Allen と Ellen が同音になり、それぞれ「セレリ」、「エレン」に近い音で発音されます。

その他の同化
 near と square の同化
ニュージーランド英語における最も顕著な発音の同化が、この near と square の同化 (Near-square merger) であり、二重母音である /ɪə/ と /eə/ が同化するため、near と square、here と there、 bear と beer、rarely と really などが韻を踏むことになります。また、この場合、下の表の /i/ の発音は、最初に述べた /ɘ/ の音ではなく「イ」の音で発音されます。

単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
near /niə/ /nɪ(.a)/ /nɪə/ /nɪɚ/
square /skwiə/ /skwe/ /skwɛə/ /skwɛɚ/

 fern、fir、fur の同化
ほとんどの国の英語に該当する特徴ですが、「r」の前の /ɛ/、/ɪ/、/ʊ/ が同化して同じ発音になる fern、fir、fur の同化 (Fern–fir–fur merger) がみられ、ニュージーランド英語では、口の開け方がより小さくなる /ɵː/ の音になります。

 horse と hoarse の同化
同様に、他の国の英語にも共通しますが、母音の前の /ɔ/ や /o/ が同化する horse と hoarse の同化 (Horse–hoarse merger) がみられます。

 wine と whine の同化
他の英語圏でも一般的な傾向になっていますが、what や which などの「wh」の部分の発音が wine などの「w」の音と同化する wine と whine の同化 (Wine–whine merger) がニュージーランド英語でもみられます。

発音の分裂
 trap と bath の分裂
イギリス英語、オーストラリア英語と同様に、trap と bath の分裂 (Trap–bath split) がみられ、/f/、/s/、/θ/、/ð/、/z/、/v/、または鼻音の前にくる /æ/ の音が /ɐː/ に変化します。

単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
trap /træp/ /træp/ /træp/ /træp/
bath /bɐθ/ /baθ/ /bɑθ/ /bæθ/

 pure と poor の分裂
オーストラリア英語にもみられる傾向ですが、/ʊə/ の二重母音が /ʉː.ɐ/ という2つの単母音からなる発音と /oː/ という長音単母音に分かれる pure と poor の分裂 (Pure–poor split) がみられます。

単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
pure /pjʉ.ɐ/ /pjʉ.ə/ /pjʊɚ/ /pjʊr/
poor /po/ /po/ /pʊɚ/ /pʊr/


独特の母音の発音

次に、ニュージーランド英語の独特な母音の発音について、オーストラリア英語などの他の国の英語と比較しながらみてみましょう。

 /ɪ/ の発音
最初にも述べましたが、他の英語圏では /ɪ/ で発音される母音が /ɘ/ というアルファベットの「e」を左右反転したような発音になります。/ə/ の発音よりも、口の大きさを小さめに半分くらい開け、舌の前後の位置を中央に置いて発音します。
例)fish、chip
単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
fish /fɘʃ/ /fɪʃ/ /fɪʃ/ /fɪʃ/
chip ɘp/ ɪp/ ɪp/ ɪp/

 /e/の発音
標準発音では /e/ と発音される母音が /ɪ/ に近い音で発音されます。
例)egg、bed

たとえば、egg「卵」は「igg」、bed「ベッド」は「bid」に近い音で聞こえます。これは実際に /ɪ/ の発音をしているということではなく、あくまでもこのように聞こえるという意味です。

 /ə(ɜ)/ の発音
イギリス英語やアメリカ英語では /ɜ/ や /ɝ/ で発音される母音が、舌の位置を前方に移動させ、唇を丸めた状態で発音されます。IPA 表記では /ɵ/ といった /θ/ によく似た記号が使われます。
例)bird、nurse
単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
bird /bɵd/ /bɜd/ /bə(ɜ)d/ /bɝd/
nurse /nɵs/ /nɜs/ /nə(ɜ)s/ /nɝs/

 /æ/ の発音
イギリス英語やアメリカ英語では /æ/ で発音される母音が、舌の位置が上に上がる(口の開け方が小さくなる)ことによって /ɛ/ の音で発音されます。そのため、cat on the mat が「ケット・オン・ザ・メット」、laptop が「レップトップ」のように聞こえます。
例)bad、cat
単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
bad /bɛd/ /bæd/ /bæd/ /bæd/
cat /kɛt/ /kæt/ /kæt/ /kæt/

 /eɪ/ の発音
イギリス英語やアメリカ英語では /e(ɛ)ɪ/、オーストラリア英語では /æɪ/ で発音される母音が /æe/ の音で発音されます。
例)face、take
単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
face /fæes/ /fæɪs/ /fe(ɛ)ɪs/ /feɪs/
take /tæek/ /tæɪk/ /te(ɛ)ɪk/ /teɪk/

 /aɪ/ の発音
イギリス英語やアメリカ英語では /aɪ/、オーストラリア英語では /ɑe/ で発音される二重母音が /ɐe/ で発音されます。
例)price、light
単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
price /prɐes/ /prɑes/ /praɪs/ /praɪs/
light /lɐet/ /lɑet/ /laɪt/ /laɪt/

 /aʊ/ の発音
イギリス英語やアメリカ英語では /aʊ/、オーストラリア英語では /æɔ/ で発音される二重母音が、/æo/ で発音されます。
例)loud、mouth
単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
loud /læod/ /læɔd/ /laʊd/ /laʊd/
mouth /mæoθ/ /mæɔθ/ /maʊθ/ /maʊθ/

 /ɔɪ/ の発音
イギリス英語やアメリカ英語では /ɔɪ/、オーストラリア英語では /oɪ/ で発音される母音が、/oe/ の音で発音されます。
例)boy、choice
単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
boy /boe/ /boɪ/ /bɔɪ/ /bɔɪ/
choice oes/ oɪs/ ɔɪs/ ɔɪs/

 /u:/ の発音
イギリス英語やアメリカでは /u:/ で発音される母音が、オーストラリア英語と同じように /ʉː/ で発音されます。
例)boot、goose
単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
boot /bʉt/ /bʉt/ /but/ /but/
goose /gʉs/ /gʉs/ /gus/ /gus/

 /ʌ/ の発音
イギリス英語やアメリカでは /ʌ/、オーストラリア英語では /a/ で発音される母音が、それよりも舌の位置が中央まで引き、口の開け方が小さい /ɐ/ で発音されます。
例)bud、strut
単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
bud /bɐd/ /bad/ /bʌd/ /bʌd/
strut /strɐt/ /strat/ /strʌt/ /strʌt/

 /oʊ/ の発音
イギリス英語では /əʊ/、アメリカでは /oʊ/、オーストラリア英語では /əʉ/ で発音される二重母音が、/ɐʉ/ で発音されます。
例)boat、coat
単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
boat /bɐʉt/ /bəʉt/ /bəʊt/ /boʊt/
coat /kɐʉt/ /kəʉt/ /kəʊt/ /koʊt/

 /ɔ:/、/ʊə/ の発音
イギリス英語では /ɔ:/、アメリカ英語では /ɔ:/ または /ʊɚ/ で発音される母音が、オーストラリア英語と同様に /oː/ で発音されます。
例)thought、poor
単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
thought ot/ ot/ ɔt/ ɔt/
poor /po/ /po/ /pɔ/ /pʊɚ/

 /ɑ/、/ɒ/ の発音
イギリス英語では /ɒ/、アメリカ英語では /ɑ/ で発音される母音が、オーストラリア英語と同様に /ɔ/ で発音されます。
例)lot、hot
単語 ニュージーランド英語 オーストラリア英語 イギリス英語 アメリカ英語
lot /lɔt/ /lɔt/ /lɒt/ /lɑt/
hot /hɔt/ /hɔt/ /hɒt/ /hɑt/


参考サイト

発音以外のニュージーランド英語の特徴については、「世界の英語」コーナーのニュージーランド英語をご覧ください。

ニュージーランド英語の発音については、下記のサイトが参考になります。
http://faculty.washington.edu/dillon/PhonResources/kiwisounds/NewZealandPronunciation.html
ニュージーランド英語の発音が聞けます。

http://fonetiks.org/engsou2au.html
母音の発音記号にカーソルを当てると、その発音を含んだ単語のニュージーランド式発音が聞けます。



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