文法の確立

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学校文法の確立

英国の世界進出によって、ますます外来語の流入がさかんになり、それによって母国語が汚染され、腐敗するのではという危機感が文学者たちの間で高まってきました。すでにイタリアでは1582年に、フランスでは1635年にアカデミーが設立され、それぞれ1612年、1694年に辞書を発刊、文法、発音、スペル、語彙などの問題をアカデミーによって統制する試みがなされました。それに習ってジョン・ドライデン (John Dryden) 、ダニエル・デフォー (Daniel Foe) 、ジョナサン・スウィフト (Jonathan Swift) らが中心となり、英国においてもアカデミーを設立し、英語の統制を行おうという提案をしました。

しかし、多大な賛同を得ながらも、この試みはついに実ることはありませんでした。ラテン語であれ、ギリシア語であれ、どんな言語も長い歴史の流れのなかで同じ状態に留まり、変化しないというのはそもそも不可能なことであるわけです。サミュエル・ジョンソン (Samuel Johnson) は「辞書があれば、危惧されている言葉の腐敗は防ぐことができる」と考え、辞書を編纂し、後世に大きな影響を与えました。また、イタリアやフランスでの試みに対して反対意見を述べる人々もおり、こうして英国では、アカデミーを設立し、言語の統制を図るよりも辞書を充実させることによって、言語を衰退や腐敗から防ごうという方向を選びました。

一方で英語文法としての定義付けが行われ、1762年にロバート・ラウスの『英文法への手引き』 (Robert Lowth) 、1794年にリンドレー・マーレイ (Lindley Murray) による『英文法』(English Grammer) が出版され、大きな影響をもたらしました。これらの「学校文法」は広く一般に受け入れられ、今日にまで引き継がれている部分もあります。実際、今日においても見られる文法上の問題―「用例」はそれを明記するだけでよいのか、あるいはその用例が正しいか間違っているかの評価まですべきなのか?―ということがすでにその頃から議論されていたようです。あるいは shall  will の使い分け、二重否定の問題、文尾に来る前置詞のルールなど、現在においても実に同様の問題が議論されているのは興味深いものがあります。

※Robert Lowth のラストネームの発音は、「ロウス」、「ロース」などネイティブ間でも議論がありますが、ここでは「ラウス」としています(参考url: http://codifiers.weblog.leidenuniv.nl/2006/03/15/robert-lowth-in-the-oxford-dictionary-of)。

句読点の確立

古英語、中英語期には気まぐれだった句読点の使い方ですが、18世紀になってようやく定着してきました。つまり、最も大きな休止をピリオド(.)、次に大きな切れ目をコロン(:)、それよりやや小さめの休止をセミコロン(;)、もっとも小さい休止をカンマ(,)で示すといったルールです。その他にも、疑問符(?)、アポストロフィー(')、丸かっこ( )などの使い方も一般的になってきました。

文字で記録されるようになった当初は、そもそも句読点の類はなく、wheniwasyoungilivedintokyo (when I was young, I lived in Tokyo.) のように、単語の前後にもスペースがなく、句読点も全くない状態だったといいます。強いて言うなら、最初の文字を大きくしたり、色をつけたりして章やパラグラフの最初の目印をつける程度だったようです。というのも、こういった文字の羅列を解読し、きちんと息継ぎやイントネーションなどをつけて朗読するという「専門家」のような人たちがおり、これはひとつの「技能」のようなものだったわけです。たとえば、楽譜を見ただけでメロディーを把握し、その場で歌える人のようなものかもしれません。

しかし、やがてキリスト教の文献が読まれるようになってくると、内容を正しく伝えなければならないという目的から句読点が使われるようになってきました。しかも、もともとキリスト教の文献はラテン語で書かれていました。ラテン語は話し言葉ではなく、勉強用の書き言葉であり、第二外国語のような存在だったため、ただでさえわかりにくいわけです。こうして、句読点が一般的なものになってくるのですが、書く人によって独自の句読点や使い方があり、統一されたものではなかったのです。

こうして、今日にも通用する句読点のルールが形成されていきましたが、現代の句読点のルールもそれほど厳密に定義されているとは言えません。文章の終わりにピリオドの代わりにコンマを使うといった例はさすがにないものの、節や単語の後にコンマを入れるか入れないか、あるいは、コロンの後は大文字で始めるか、小文字で始めるか、といった問題などは、文章を書く人に依存する部分が多く、明確ではありません。

句読点の歴史について詳しく知りたい方は、こんなサイトがあります(ただし英語です)。 http://www.uwosh.edu/faculty_staff/maguirem/history.html