前史時代  (Prehistory)

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前史時代 (〜450)
今からおよそ70万年前、現在のイングランドの地にはすでに人類の祖先が住んでいたであろうと言われています。その後、氷河期 (the Ice Age) に入り、人々は居住可能な地域へと移住しますが、氷河期も終わり、気候が温暖になってくると再び移民が行われるようになりました。

どの地域からどんな人々が移住してきたかという点は歴史的に明らかではありません。しかし、最近の遺伝子の研究によると、イギリス人のルーツは、石器時代 (the Stone Age) のイベリア半島 (the Iberian Peninsula) からやってきたイベリア人 (Iberians) ではないかという説があります。イベリア半島とは、ヨーロッパ大陸西端にあり、スペインやポルトガルのある半島です。

そして、青銅器時代 (the Bronze Age) も終わり頃の紀元前7世紀頃になると、ケルト人 (Celts) がやって来るようになります。ケルト人は、鉄器 (the Iron Age) や武器の製造などに優れた才能を表わし、ヨーロッパに文明の華を咲かせました。また、彼らの話すケルト語 (Celtic languages) は多くの方言に分かれていたようです。

そのうち、ローマ帝国 (the Roman Empire) がヨーロッパで勢力を持つようになってきます。紀元前55〜54年にジュリアス・シーザー (Julius Caesar) が侵攻して以来、イギリスを植民地化しようとする動きが強くなり、ケルト人の女王ブーディカ (Boudica) をはじめ、現地の部族は激しい抵抗を繰り返し、何十年という長い年月がかかりましたが、次第にローマ帝国の支配が拡大していきました。

それから400年後、西ローマ帝国が滅亡し、ローマ人がイングランドを去ると、次にやってきたのがサクソン人 (Saxons) です。サクソン人は戦闘的な民族で、ゲルマン民族の一派。サクソン人とは同じゲルマン民族 (Germanic peoples) の一派であり、隣接する地域に住んでいたアングル人 (Angles) ジュート人 (Jutes) も、このイギリス侵略に加わりました。その後、これらの民族はお互い同化や統合を行い、より大きな集団になっていったようです。こうして、5世紀初頭から1066年のノルマン人の征服 (the Norman Conquest) までの間にイギリスの南東部に住んでいた人々をまとめてアングロ・サクソン人 (Anglo-Saxons) と呼ぶようになりました。ちなみにイングランド、イングリッシュという呼び名はそれぞれ「アングル人の国」「アングル人の言葉」という意味が語源です。

アングロ・サクソン人の侵略によってケルト社会は破壊され、ケルト人は、次第に現在のコーンウォール (Cornwall)、ウェールズ (Wales) またはスコットランドなどの西方や北方へ追いやられ、衰退していきました。こうして分散していったケルト人はそれぞれの方言を独自に発展させ、ウェールズ語 (Welsh language) ゲール語 (Gaelic languages) などのケルト語の分派が生まれます。ちなみに、Great Britain という名前の起源にもなったブリトン人 (Britons) の話していた言語もウェールズ語と同じ言語グループに属します。

また、紀元1世紀から2世紀頃になると、「キリスト教」が伝わって来ます。アイルランドやスコットランドから伝播したルートとローマからのルートの二種類がありますが、後にローマのルートが正式なものとして採用されました。


ラテン語の影響

地名などを除いて、この時代におけるラテン語の影響は残されていません。
例を上げると、 -chester  Manchester (ラテン語の「砦」 castra から)、street  (「舗装された道」 straet)などがあります。

しかし、それ以前に(英語史の幕が開く前)アングロ・サクソン人は大陸にてローマ人と接触したときがあり、その際に日常生活に係わる言葉を多く借りています。それらは受け継がれて今日の基本的語彙になっています。 例えば、 mile 「マイル」、 wall「壁」、 cat 「ネコ」、 wine「ワイン」、 oil「オイル」、 cheese「チーズ」、 butter「バター」、 dish「皿」、 kitchen「台所」、 table「テーブル」などがあります。


ケルト語の影響

あまりケルト語の影響はなかったようですが、テムズ川の Thames 
(薄暗いの意味)、川を意味する Avon  Kent (国境)、 Dover (水)など、地名に借用されています。