アイルランドの国歌

Irish National Anthem
オリンピックなどでしか聞くことのできないいろんな国の国歌。そこには、祖国に対する愛しい思いや戦いという犠牲を払ってやっと勝ち得た建国の情熱が込められています。ここでは、アイルランドの国歌についてまとめています。ご参考までに、歌詞には日本語訳をつけています。


Last update March 2, 2021

The National Anthem of Ireland

1907年にピーダー・カーニー (Peadar Kearney) が作詞し、パトリック・ヒーニー (Patrick Heeney) が作曲した A Soldiers' Song が元になっており、1912年アイリッシュ・フリーダム (Irish Freedom) 新聞紙上に初めて発表されました。その後、イギリスからの独立をめざすアイルランド義勇兵によって行進曲として使われ、1916年のイースター蜂起 (The Easter Rising) をはじめ、アイルランド独立戦争では共和軍によってさかんに歌われるようになりました。独立後は、その軍事色濃い内容から国歌としての採用は否決されましたが、軍関連の行事などで演奏されるなど依然として人気を保っていたこともあり、1926年、コーラスの部分(下記の歌詞ではブルーの部分)のみを正式な国歌として採用することが決定されました。名称も The Soldier's Song と改められています。ここでは、正式な国歌であるコーラス以外の部分も併せて紹介しています。


歌詞を原語で味わう

歌詞の日本語訳を読んで「なるほど」というのもいいのですが、言語が異なる限り、その言葉にこもる思いを翻訳では100%再現することは不可能です。たとえば、英語のリズムや韻を踏んでいる表現など、原語でしか味わえない部分もあります。ここはひとつ思い切って、英語で読んでみましょう。

なおご参考までに、各ブロックの下に簡単な単語帳をつけています。また、歌詞の中で文字の色を変えている部分は、韻を踏んでいる単語を表し、各ブロックにおいてそれぞれの色が対になります。

The Soldier's Song
『兵士の歌』

We'll sing a song, a soldier's song
With cheering rousing chorus
As round our blazing fires we throng
The starry heavens o'er us
Impatient for the coming fight
And as we wait the morning's light
Here in the silence of the night
We'll chant a soldier's song

 単語   soldier 兵士 |  cheering 元気づける |  rousing 興奮させる |  chorus コーラス |  round 囲んで |  blazing 燃えている |  throng 群がる |  starry 星をちりばめた |  heavens 空、天空 |  o'er = over |  impatient 待ちきれない |  fight 戦い |  silence 沈黙 |  chant 歌う、唱える | 

Chorus
Soldiers are we
whose lives are pledged to Ireland
Some have come
from a land beyond the wave
Sworn to be free
No more our ancient sire land
Shall shelter the despot or the slave
Tonight we man the gap of danger
In Erin's cause, come woe or weal
'Mid cannons' roar and rifles peal
We'll chant a soldier's song

 単語   pledge 誓約する |  wave 波、海 |  sworn swear 「誓う」の過去分詞 |  ancient 古代の |  sire land 祖国 |  shelter かくまう、庇護する |  despot 独裁者 |  slave 奴隷 |  man 武装する、人員配置する |  the gap of danger 防御しにくい場所、城壁などの裂け目 |  Erin エリン(アイルランドの古名) |  cause 理由 |  woe 悲痛 |  weal 幸福 |  'mid = amid ~の間に |  cannon 砲撃 |  roar うなり |  rifle ライフル銃 |  peal とどろき | 

In valley green, on towering crag
Our fathers fought before us
And conquered 'neath the same old flag
That's proudly floating o'er us
We're children of a fighting race
That never yet has known disgrace
And as we march, the foe to face
We'll chant a soldier's song

 単語   valley 谷間 |  towering 高くそびえる |  crag 険しい岩山 |  fought fight 「戦う」の過去形 |  conquer 征服する |  'neath = beneath 「~の下に」 |  proudly 誇らしげに |  float 漂う |  race 民族 |  disgrace 不名誉 |  march 行進する |  foe 敵 | 

Chorus (上に同じ)

Sons of the Gael! Men of the Pale!
The long watched day is breaking
The serried ranks of Inisfail
Shall set the Tyrant quaking
Our camp fires now are burning low
See in the east a silv'ry glow
Out yonder waits the Saxon foe
So chant a soldier's song

 単語   the Gael ゲール人(ケルト人の一派) |  the Pale 中世にイギリス統治下にあった場所の人々 |  watch 警備 |  break 一日が始まる(夜が明ける) |  serried ranks of 大勢の兵士などが群れをなす様子 |  Inisfail イニスフォイル(アイルランドの別名) |  Tyrant (イギリスの)暴君 |  quake 震える |  camp fire 野営のかがり火 |  burn 燃える |  silv'ry = silvery 銀白色の |  glow 輝き |  yonder 向こう |  the Saxon サクソン族(イングランド人のこと) | 

Chorus (上に同じ)

 日本語訳  

我らは歌う 兵士の歌を
激励と奮起の合唱を
燃え盛る火を囲み集う
星できらめく空のもと
来たる戦い 待ちわびて
暁の光 待ちながら
今宵の静けさに
我らは 兵士の歌を歌う

コーラス
我らは兵士
アイルランドに捧げし命
ある者は来たる
海の彼方の国から
解放の誓いもち
古よりの祖国はもはや
暴君や奴隷の棲家とならじ
今宵 弱き城塞を固め
エリンのため 悲痛幸いものとせず
砲撃のうなりと 銃のとどろきのなか
我らは 兵士の歌を歌う

緑なす谷間に そびえ立つ岩山に
我らが父どもは 戦いたり
攻略ぞなす 同じ古旗
いま 頭上に誇らしく漂う
我らこそは 戦う民の子孫
いまだ 敗者の屈辱知らず
敵に対峙し 前進せん
我らは 兵士の歌を歌う

コーラス

ゲールの子たちよ!ペールの男たちよ!
長き見張りの 夜は明けんとす
イニスフォイルの 群れなす多勢よ
暴君をして 震撼させよ
我らが野営の火は 低く燃え
銀白の光 東方に輝き
彼方に待つは サクソンの賊
我らは 兵士の歌を歌う

コーラス

(翻訳:「通弁」クリエイティブ翻訳ワークショップ