観光って言えば歴史。歴史って言えば用語。書院造りが何かわかんないようじゃ、いくら英語が出来ても観光ガイドはできないわよ。「それ何?」って聞かれて、 I don't know じゃアンタ、しゃれにもなんないわよ。ガイドする前に、ここで、しっかり勉強しとくのよ。ここに載ってないものはどうするかって?それくらい、自分で調べなさいよ。

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書院造り
しょいんづくり
平安時代の貴族の家の様式が「寝殿造り」。そして、それまでブイブイいわせてた藤原氏の勢力が衰えて、武士が政権を握るようになると、寝殿造りを真似して、簡略化したのが「書院造り」なのね。

「書院」がどういう意味かって言えば、「書斎」ってところじゃない?もともとは、お坊さんが朝に夕に仏さまを拝んだり、経典を読んだり、お線香をあげたり、日常生活していた部屋のことを「書院」って言ったらしいわ。つまり、それが書院造りの語源。それがだんだん、庶民の間にも浸透して、一般的なものになって、現在でも日本の家の座敷なんかにそのまま受けつがれているのよ。

ところで、書院造りの座敷飾りと言えば、床の間、棚、付け書院、帳台構。よく田舎の家なんかに行くと、床の間に「布袋さん」とか「鶴亀」とかの掛け軸が掛かっていたりするんだけど、もともとは、お坊さんが、仏像画なんかが掛けて、その前に花や香炉、燭台とかを置いて、棚には書物や巻物を置いてたらしいのね。付け書院(カンタンに「書院」ともいうのよ)っていうところが、いわゆる机みたいになってて、光が入るように、必ず窓があんのね、そこで、書物などを読んで暮らしてたってわけ。

それが、だんだん形式的になってきて、ただの飾りになっちゃったのよ。つまりね、本来の用途とか、いわゆる中身が無くなって来ると、自然と飾り立てるほうに走ってしまうもんなのよね。あら、アタシのことじゃないわよ。失礼しちゃうわ。

それでさ、一言で「書院造り」って言ってもね、え?まだ続くのかって?もう、アンタ、まじめにやんなさいよ!まだまだ、あんのよ。せっかく調べてきたんだから、全部言わせなさいよ〜。

書院造りには「真」「行」「草」(しん・ぎょう・そう)ってあんのよ。アンタ、知ってた?「真」は正式な様式で、武士の威厳見てくれ!って感じの格式高いスタイル、「草」はかなり自由な様式で、侘び寂び、風流じゃ〜といったひなびた茶室スタイル、「行」っていうのがその中間ね。まあ、服装で言ったら、礼服、カジュアルスーツ、Tシャツ・ジーンズみたいなもんね。(アンタ、どれが好き?アタシは絶対、「礼服」よ〜!)この「草」が発展していくと「数寄屋造り」になるらしわ。どう、日本文化もなかなか奥深いわねえ。


床の間
とこのま
書院造りの座敷飾りのホープ、床の間。もともとは、お坊さんがお花とかを置いて、仏画を拝んだりしたんだけど、今や、ほんとの「飾り」ね。田舎の家なんかは今でもお花なんか飾ったりするみたいだけど、中にはテレビ置き場になってたりするらしいわよ。ただの飾りでしかなかった床の間が、再び「テレビ置き場」という新しい役割を与えられたってことなんだけど、素直によかったとは言えないわよねえ。

で、「床の間」が日本建築の中で成立するのは、室町時代後期のこと。以前は「床の間」じゃなくて「床」って呼ばれてたのよ。「床」って言うのは、周りより一段高くなっている場所を指していたらしいのね。

豊臣秀吉なんかはよく、自分から「床の間」に座ってたらしいわよ。自分はエライんだってことをアピールしようとしたんじゃない?でも、いやあねえ。自分から座るってとこが、そもそも田舎もんじゃない?ほんとのエライ人ってさあ、さりげなく末席に座っていたりするもんよね〜。アタシの知ってる人でさあ、お客さんとか目上の人といっしょに、レストランなんかに入るじゃない?そうすると、自分が真っ先に上座に座る人っていたわよ。別に威張ってたわけじゃなくて、天真爛漫すぎて、そんなこと気にしない人だったのね、きっと。そう言えばあだ名が「おさる」だったわ。

ま、とにかく、武士の威厳を誇示するためのものだったことは間違いないようね。江戸時代とかになると、大げさな床の間がどんどん作られたらしいわ。でもね、床の間ってのは、武士だけのためのもので、一般庶民には関係のないもんだったらしくって、町民や農民の家には当然、床の間なんてなかったわけ。ずっと後になってから、豪農・豪商の家には造られるようになったらしいけど、これも何のために造ったかといえば、そういう名門の農家や商家には、武士が来るのよ。そのときのために、わざわざ、普段自分たちは足を踏み入れることもない床の間の部屋を造ったんだって。



帳台構え
ちょうだいがまえ
書院造りの座敷飾りのひとつが帳台構。もともとは、棚の脇に設置されてる小さな部屋に通じる入り口のこと。その小さな部屋っていうのは「寝室」とか「納戸」のことで、寝室のことを昔は「帳台」って呼んだのよ。台みたいに一段高くなってたからでしょうね、和式ベッドみたいなもんかしら。

昔は、帳台構えの向こうに、ほんとに寝室があったらしいんだけど、もう、江戸時代くらいになると形式だけで、戸はついてても部屋はなかったりすんのよ。つまり、形式化されたってわけ。形式化すると、中身が無くなるから、だんだん派手に豪華になっていくのよね。

そうそう、帳台構えは、別名「武者隠し」とも言ってさ、そこに武装したお侍が潜んでいたらしいわよ。主人が危ない目に会いそうになったら「出会え!出会え!」とか呼ばれて、出ていくのよ。そして、正義の味方の「○山の金さん」とか「○○坊将軍」(アンタ、どっちが好き?アタシは絶対金さ〜ん!)とかにみんな斬られてしまうの。かわいそう〜っ!でも、実際のところ、お侍が隠れてたかどうかはさだかじゃないらしいわ。



欄間
らんま
お年寄りのなかには、床の間や欄間のない家は家じゃないなんて言う人もいるんだけど、やっぱりさあ、そりゃ、日本人の家らしいわよね、あったほうが。「仏壇がないとやだ」とか言う人もいるみたいよ。アンタ、どう思う?今は要らないとか思っててもね、年取ってくると、「欲しい!」とか思うもんらしいわよ。だってさ、アンタ、いずれ、自分が入るとこなのよ〜。

実際の模様は、図のようなんじゃなくて、もっと派手。めでたい富士山とか鶴亀とかね。で、欄間の起源というのは、平安時代。当時は、灯り取りが目的だったらしくて、模様も単純な縦横の格子だとかが使われてたんだって。それが、鎌倉時代になると、装飾が施されるようになったのね。桃山時代になるとますます豪華絢爛になってきちゃって、江戸時代初期にはピークだったらしいわ。透かし彫りとか彫刻とかね、もう、見事。中身がなくても、やっぱり「綺麗」がいいわよね〜。



透かし彫り
すかしぼり
模様を切り抜いてしまうような彫り方のことで、江戸時代に発達した手法よ。なんでも「透かし彫り」には、「ワビ」と「サビ」に「洒落」や「粋」などの要素が加わっているらしいわ。侘しくて、寂しくて、しゃれ(おしゃれ?)があって、粋、って言われてもなんだかよくわかんないかもしれないけど、アンタ想像力あるほう?じゃさ、目つぶって、想像してみんのよ。一枚の板があってさ、そこに、チョウチョとかトンボとかの形が切り抜いてあって、それで、周りは夜で暗いのよ。そこに隣の部屋の電気が「ぽっ」と点くのよ。そうすると、蝶とかトンボの切り抜きの間から光がぼおーっと洩れてくるのよ。どう?風流じゃない?粋よね〜、おしゃれよね〜。それがわかんなきゃ、アンタ、ヤボよ〜。



釘隠し
くぎかくし
アッシは釘だす。こうして、柱を押さえて何百年… なんてさ、釘が言うわけないんだけど、やっぱり、釘だとか、ネジだとかは、あまり目立って欲しくないのよね。なんか、舞台裏のぞかれているみたいでいやじゃない?部屋全体がひとつの作品として、芸術的な世界を作り出してるなかに、チョボーンと「釘の頭」が見えてるってのも、ちょっとしらける感じね。

あっらー、アタシなんかよくわかるわよ。メークなんかしててさあ、顔に大きな吹き出物なんかできてたりするじゃない?そんなときって困るわよねえ。どうやって隠そうかしら、なんて悩んだりすんのよ。そりゃ、アンタ、女にとって顔は命よ〜。











車寄せ
くるまよせ
駐車場じゃないわよ、当たりまえじゃないの。これはね、ごく限られた身分の高い人たちだけが、正式なときに、出入りを許された「最も格の高い出入り口」なのよ。そこんじょそこらの玄関とかワンルームマンションのドアとはワケが違うのよね。室町時代からこう呼ばれるようになったらしいわ。



うぐいす張り
うぐいすばり
「うぐいす張り」っていうのは、いまさら説明するまでもないと思うけど、廊下を歩くとキュキュっていう音がすんのね。古い木造の建物で廊下を歩くとキーキー音がするっていうの、あれとは違うのよ。あれはたぶん、シロアリとかが食ってたりして、廊下が磨り減ってるんだろうけど、こっちはアンタ、なんてったって「うぐいす」なんだから!風流よね〜。

で、仕組みなんだけど、左の絵見てくれる?あらら、床の上にあるのってアタシの美脚よ〜。いやあね、イラスト担当さんったら。ヤダって言ったのに、もう。あ、仕組みだったわね。これはさあ、もともと、床板の下に少し隙間を作っておいて、「かすがい」で留めてるのね。重力をかけると床板が上下して、摩擦音が出るっていうわけなの。右は床の下からのぞいたところよ。

でもさあ、思わない?なんで「うぐいす」の名前がつくのかしらね?別にカラスでもいいと思わない?「カラス張り」なんてさ。え?「歩くたびにカーカー鳴かれちゃ、うるさい」って?もう、失礼ね!ほっといて!…でも、それもそうかもね。(反省)