本家イギリスから疎まれながらも、日本では最も親しみがあり、良くも悪くも、世界的に影響力を持つ英語?ここでは、アメリカ英語についてまとめています。
Last update April 20, 2015




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アメリカ英語

アメリカ英語の発祥は、ご存知のように、17世紀に始まったイギリスからの移民によってもたらされたイギリス英語です。その後、先住民であるネイティブアメリカンやドイツ、アイルランド、スペインなどから移民してきた人々の言語の影響を受けながら発展していきました。

ちなみに、本国イギリスではすでに失われていますが、アメリカ英語にはそのまま残っている特徴もあります。その代表的なものが、標準アメリカ英語に見られる、母音の後の「r」を発音するという rhotic (ロウティック)の特徴です。これは、現代のイギリス英語には見られませんが、当時のイギリス英語では一般的な特徴であり、アイルランドやスコットランドの英語にも引き継がれています。ただし、移民後もイギリスとのつながりが深かった東海岸(ニューイングランド、ニューヨーク、フィラデルフィアなど)では、この特徴は見られません。

「秋」を意味する fall もそうです。イギリスでは autumn を使うのが一般的ですが、アメリカ英語では fall をよく使います。この単語も17世紀の移民と同時にもたらされた語彙で、16世紀のイギリスでは、この季節を形容するのに fall of the year とか fall of the leaf などと表現していたものが省略されて fall となったと言われています。


アメリカ英語の語彙

アメリカ英語では、ヨーロッパとは異なる地形や動植物の名前を表現するために、他の言語からの借用や既存の英単語を割り当てるなどして、独自の語彙を形成していきました。以下、他の言語から借用することでアメリカ英語となった語彙をいくつか挙げておきます。

借用先 語彙例
アメリカ原住民の語彙 opossum 「オポッサム」
raccoon 「アライグマ」
squash 「カボチャ」
moose 「アメリカヘラジカ」
wigwam 「獣皮や木皮などを張った円形の小屋」
moccasin 「モカシン」
オランダ語 cookie 「クッキー」
cruller 「ねじった軽いドーナツ」
stoop 「玄関口の階段」
boss 「ボス、親分」
ドイツ語 hamburger 「ハンバーガー」
scram 「出ていく、逃げる」
wiener 「ウィンナソーセージ」
delicatessen 「デリカテッセン」
フランス語 levee 「堤防、土手」
gopher 「ホリネズミ」
butte 「ビュート(米国西部に見られる丘)」
bayou 「バイユー(米国南部に見られる沼のような入り江)」
coulee 「クーリー(米国西部・カナダなどに見られる流水できた峡谷)」
スペイン語 barbecue 「バーベキュー」
rodeo 「ロデオ」
canyon 「峡谷」
mesa 「メサ(米国南西部に見られる台地)」
arroyo 「アロヨ(米国南西部に見られる乾燥地帯の小川)」




また、イギリスの用法とは異なるものを指すようになった単語の例として、corn が挙げられます。corn はイギリスでは「小麦や穀類一般」を指していましたが、アメリカでは「トウモロコシ」を表すようになり、「小麦を含む穀類」には grain が使われるようになりました。


アメリカニズム

ハリウッド映画やアメリカのドラマなど、日本人にとって最も親しみやすいのがアメリカ英語と言えるでしょう。また、戦後のアメリカとの関係もあり、日本の英語教育も基本的にはアメリカ英語です。それが証拠に、color のスペルをイギリス式に colour などと表記したりすると「これスペルミスですね」と言う人もいたりします。私も企業向けの翻訳の仕事をしていますが、全世界に向けて「イギリス式スペル」を使うという日本企業にも出会ったことがありません。ヨーロッパの現地子会社のほうがアメリカ地域よりも多く、業績的にも優勢であっても、そこに向けて発信されるメッセージはなぜかアメリカ英語なのです。

ともあれ、その政治・経済的な影響から世界的にも存在感が大きいのがアメリカ英語です。それだけに、本家の座を奪われてしまったイギリスからみれば、(やっかみも手伝って)アメリカ英語に対する嫌悪感や敵対心が存在するのは当然のことかもしれません。「もともと英語にはこんな用法はない」とか「ヘンなアメリカ語が英語としてまかり通ってしまうのはけしからん」というわけです。

日本でも、「"全然"の後に来るのは否定文だろ?"全然大丈夫"とは何事だ!」(もう今ではすっかり市民権を得ています)とか、「"このケーキ、ヤバイかも!"って何だ?腐ってんのか!」(注:クセになるほど美味しい)など若い世代の言葉の乱れを嘆く風潮がありますが、英語に誇りを持つイギリス人にとって、そういったことが世界レベルで展開し、しかも、それがどんどん自国にも流れ込み、だんだん「英語」として市民権を得ているのですから、たまったものではありません。そもそも、「英語」は「英国」の言葉だから「英語」なのに、それにことさら「イギリス」という言葉をつけて「イギリス英語」って何だ?ということになりますね。確かに、これは「馬から落馬」と同じレベルです。

というわけで、イギリス人が眉をひそめる「アメリカニズム」と言われるアメリカ英語の傾向をみてみましょう。とは言え、ここに掲げる傾向=アメリカ英語(アメリカニズム)というわけではありません。あくまでも、誰かが言った意見をまとめているとご理解ください。その見解は個人レベルでも異なりますし、それぞれの意見が本当にアメリカだけに特有のことなのか(イギリスには見られない傾向なのか)というと疑問が残ります。なお、例文は傾向を踏まえてこちらで作成したもので、実際に誰かが使った文章ではありません。

 名詞もそのまま動詞に早変わり
He authored this book. author: [名詞]著者、著作物
He gifted her some flowers. gift: [名詞]贈物
This is a verbed noun. verb: [名詞]動詞

 de- をつけて反対語もカンタンに生成
We deplaned at the airport. 接頭辞 de- + plane 「飛行機」
We should deescalate the situation. 接頭辞 de- + escalate 「エスカレートする」

 -ize をつけてカンタン動詞生成
The list is alphabetized. alphabet 「アルファベット」+ 接尾辞 -ize
Spice can appetize meal. appetite 「食欲」(− -te) + 接尾辞 -ize

 ちょっとヘンな最上級?
This is the least worst thing to happen. least と worst はどちらもネガティブな内容を表す最上級
This is the most best thing to do. most と best はどちらも肯定的な内容を表す最上級
He is the winningest athlete. しいて言えば most winning??

 省略しすぎ?
An advertising agency or ad agency or advert agency... advert は advertising のイギリス式略語だったが、今ではアメリカ式 ad のほうが使われる。
The store is open 24/7. 分数ではなく 24 hours, 7 days のこと
His BO is offensive. BO = body odor 「体臭」

その他、アメリカへの偏見も手伝って、いろんな意見がありますが、そういったアメリカニズムがイギリスでも定着してしまった例も数えきれないほどあり、それがまた余計に苛立ちや怒り(?)を買うのかもしれませんね。まあ、言葉は変化するもので、あまり目くじらを立てても仕方ないのですが、相手に応じて臨機応変な対応が必要かもしれません。


参考

発音についての詳しい説明は、「英語の発音」コーナーのアメリカ英語の発音をご覧ください。

また、アメリカ英語とイギリス英語の語彙・スペルの違いについては、「いろいろ英語用語集」コーナーの英語と米語の違いをご覧ください。



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