オーストラリア英語とほとんど同じでしょ?と思いがちのニュージーランド英語。なるほど似てますが微妙な違いも…。ここでは、ニュージーランド英語の特徴についてまとめてみました。
Last update April 20, 2015




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ニュージーランド英語

ニュージーランド英語は、19世紀の移民によってもたらされたもので、世界の英語のなかでも最も新しい英語と言えます。地理的に近いことから、最も影響を受けているのがオーストラリア英語ですが、それ以外にも南イングランド、アイルランド英語、スコットランド英語、イギリス英語の RP (Received Pronunciation)、さらに先住民であるマオリ族の言語(マオリ語)の影響もみられます。

ニュージーランド英語の大きな特徴のひとつは、その母音の発音にあり、全体的に、他の地域の母音と比べると、口の開け方がちいさくなる傾向があります。なかでも、/ɪ/ の発音がほとんど聞こえないくらいのあいまいな音で発音されるため、本国イギリスの代表的なスナックである fish and chips が「f'sh and ch'ps」のように聞こえてしまいます。これは、スコットランド英語や南アフリカ英語にもみられる特徴ですが、そのため、ニュージーランド人が fish and chips と言うと、オーストラリア人にとっては「フシュ・アンド・チュプス」のように聞こえ、逆にニュージーランド人の耳には、オーストラリア人の発音は「フィーシュ・アンド・チープス」のように間延びして聞こえるのだとか。

地域による発音の違いとは紛らわしいもので、とんだ誤解を招くこともあるようです。たとえば、ニュージーランドでは thought などの母音 /ɔ/ の発音が、標準発音より口が丸まって /o/ の音で発音されるため、ニュージーランドの Auckland とアメリカの Oakland がほぼ同音になってきます。そこで、発生したのが、ロサンゼルス国際空港から Oakland に行くはずだった乗客が、ニュージーランドの乗務員の誤解によって、 Auckland に行ってしまったというウソのような本当の話があったそうです。同じ英語であっても、発音の違いには注意したいものですね。

では、ニュージーランド英語の母音がどんな音で聞こえるのか、いくつか例を挙げてみましょう。

標準英語 ニュージーランド英語 聞え方
i (ɪ) 弱いu fish --> f'sh (フシュ)
chips --> ch'ps (チュプス)
e (ɜ) i bed --> bid (ビッド)
egg --> igg (イッグ)
æ e cat --> ket (ケット)
mat --> met (メット)
u pool --> pull (プル)
fool --> full (フル)
ei tree --> tray (トレーイ)
see --> say (セーイ)
əː bird --> burd (ブード)
nurse --> noose (ヌース)




というわけで、朝「ビッド」から起きて、朝食には「イッグ」を食べる。居間では「ケット」が「メット」の上で寝そべっている。家を出るときは「レップトップ」か「テブレット」を忘れずに…。なんだか、かなり訛ってしまいますね。


話し言葉の特徴

では、ニュージーランド英語の話し言葉の特徴を挙げてみましょう。

 その抑揚は関西人?
関西人の話し方の特徴のひとつが、「やらせてもらいます」などと言うときの最後の語尾が上がることです。他の地域の人からみると「なんでそこ上がるの?」と思うかもしれませんが、長年関西に住んでいると妙にこれが心地よく、「やらせてもらいます」と下げられると、「機嫌悪いのかな」と思ったり、なんだか落ち着かないものです。

そういう意味では、非常に親近感を感じるのが、質問の答えの語尾を上げるというニュージーランド人の話し方の特徴です。質問の文章も疑問文ですからもちろん語尾が上がりますが、それに対する答えの文章も語尾が上がってしまうというわけです。この現象は、疑問文や答え以外の普通の文章にもみられるようで、こういった現象を専門的には high rising terminal と言います。その心理としては、相手に尋ねているというのではなく何らかの強調を表したいという意志が働くのだか。関西人も語尾を上げることで、一種の「強調」をしているのかもしれません。ちなみに、この語尾を上げる傾向は、オーストラリア英語にもみられるようです。

 「それ」は「彼女」?
ジェンダー(性的差別)が云々される前の英語の世界では、性別を問題にしない「人間」を表す名詞の代名詞は he でした。「人類」を表す名詞も man でしたが、今ではそういった用法はNGとなっており、「人類」は human、性別不明(問題にしない)の場合は he or she あるいは、単数複数に関わらず they を使います。

ところが、ニュージーランドの口語では、代名詞 it の代わりに she を使う傾向があるようです。ここでは女性のほうが強いのか、それとも女性は「モノ」扱いなのか、その歴史的な背景についてはわかりませんが、特に文章の頭に it が来る場合に she が使われる傾向があり、"She'll be right" というと "It will be okay" というわけです。

 語尾の「え?」はグッドチョイス!
語尾が出てきたついでに、語尾に "eh!" をつけるのもニュージーランドの話し言葉の特徴のひとつです。この eh はイギリス人などが付加疑問文の代わりとして使う "eh?" とは異なり、「強調」を意味すると言われ、マオリ語の音節 e が語源となっています。さしずめ、シンガポール英語の OK-lah など、語尾に中国語源の lah をつける傾向と似たものがあるのかもしれません。

また、ニュージーランドでは、"Great!" や "Good idea!" などを意味する感嘆詞として "Choice!" という言葉がよく使われます。また、Too much というと「程度が甚だしい」というよりは Good、Great、Very pleased の意味になるようで、まさに、言葉の選び方がグッドチョイスなのかもしれませんね。


マオリ語の影響

ニュージーランド英語では、動植物の名前や地形、地名など、マオリ語から多くの語彙を借用しています。その代表的な例が、ニュージーランドに生息する飛べない鳥キーウィ(Kiwi)で、これはヌージーランド人を意味する俗語にもなっています。その他、「こんにちは」や「ようこそ」、または「ありがとう」を意味する Kia ora、「頑張って」という励ましの言葉である Kia kaha などの日常的な言葉が若者を中心に定着しているようです。

英語とマオリ語を組み合わせた造語もみられます。たとえば、「良い」を意味するマオリ語の pai という言葉を使って half-pai といえば「半分良い」ということで「中途半端、不完全」の意味に使われます。half-pai は half-pie とも綴られ、half-pied というと「半分焼けた」という意味になります。また、「性質・状態」を表す英語の語尾 -ness に相当するマオリ語の -tanga とニュージーランド人を表す kiwi を組み合わせて kiwitanga といえば「ニュージーランド人らしさ」といった意味の造語になります。


ニュージーランド英語の語彙

以下、ニュージーランド英語の語彙例を挙げてみましょう。 マークがついているものは、オーストラリアをはじめイギリスなどでも使われます。

単語 意味 備考
bogan  ワル、ゴロツキ 粗野で教養がなく、生まれも育ちも悪い白人という意味の軽蔑的な言葉。Westie も類似語
boondocks ど田舎 僻地の田舎
Claytons  まがい物 オーストラリア発の表現。質の悪い偽物を意味する俗語
chunder  ゲロ "Watch out under" を縮めたもので、嘔吐物を指す俗語
chur bro 「じゃあまた、ありがとう」 cheers brother の略で女性にも使う。「ありがとう」の意味や別れの挨拶として使い、最近では chur bo とも
dag; dagg コメディアン 人を笑わせる面白い人間のこと。hard case とも
dairy コンビニ イギリスではcorner shop、アメリカでは convenience store
egg バカ、まぬけ 80年代に流行した軽蔑の言葉で、今でも使われる
eoh; eoa; aoh キミ、オマエ 「仲間」や「友人」の意味で英語の mate や bro に近いが、男女の区別はない。文章の頭に持ってくると hey や yo のような感じになる。"Eoh, you coming or not?"、"Where you been eoh?" のように使う。スペルは一定していないが、「アウ」のような発音。「友達」を意味するマオリ語で e hoa から
fulla キミ、仲間 guy と同じ俗語で、fellow から
Godzone ニュージーランドのこと God's Own Country から
gruds (下着の)パンツ underpants を意味する俗語
hard case 面白いヤツ 鋭いユーモアのセンスを持つ者、コメディアン
jandals サンダル 草履のようなサンダルのことで、Japanese Sandals を縮めたもの。オーストラリアでは thongs、英米では flip-flops
joker ヤツ、野郎 イギリスでは bloke、アメリカでは guy に相当するニュージーランドの男性を指す。good joker や funny joker のように使いポジティブな意味を持つ
kiwi  ニュージーランド人 ニュージーランドに生息する鳥キーウィから。キウイフルーツの意味もあるが、ニュージーランドではその意味で使われることはない。投資家の間ではニュージーランド・ドルを指す隠語
pom  イギリス人 主にイングランド人を指す。その語源はおそらく Prisoner Of (Her) Majesty (「陛下の囚人」)
scarfie 大学生 特にオタワ大学の学生を意味する俗語
shot 「ありがとう、じゃあまた」 "Shot bro" などのように用いて、謝礼や別れのあいさつに使う
your shout  そっちの番 パブで飲んでいておかわりをするときに、今度は相手がおごる番だというときのフレーズ。パブでは普通一杯ずつ料金を払うため
smoko  (タバコ)休憩 かって喫煙が一般的だった時代に、仕事の合間の一服を指した言葉。今では仕事の合間の「休憩」の意味
togs  水着 男性用女性用関係なく、競泳水着から水泳パンツ、ビキニなど、どんな水着にも使う
wag  ズル休みする 学校などをズル休みすることで、"He's wagging school today" などのように使う
waka 乗り物、移動のための「足」 移動の手段のために使う乗り物のことで、カヌーなどの水上移動のための乗り物を指すマオリ語の waka から
Westie 西オークランド人 西オークランドに住む白人を表す軽蔑的な言葉。粗野で教養がなく生まれも育ちも悪い白人という意味もあり、その定義としては、ピチピチのジーンズや黒い服を好み、音楽はヘビメタ、車はマッスルカーで獰猛な犬を飼う
West Island 西の島 ニュージーランドの西に位置することから、オーストラリアをおどけて呼ぶ呼び名


参考

発音についての詳しい説明は、「英語の発音」コーナーのニュージーランド英語の発音をご覧ください。

ニュージーランド英語の辞書
 The New Zealand Oxford Dictionary

ニュージーランドのスラング
  http://www.chemistry.co.nz/kiwi.htm
  http://www.newzealandslang.com/



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