UK の一部なんだから基本的にイギリス英語と同じでしょ?と思ったら大間違いのスコットランド英語。発音もなまってるし、単語もわからないし、第一その文法ヘンじゃない?――確かに。でも、そこがスコットランド英語の味わいです。
Last update April 20, 2015




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スコットランド英語

つい最近、独立するか否かが世界の話題になった「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」(the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)のメンバーであるスコットランド。発音はもとより、語彙から文章表現、文法まで、同じ UK でもイギリス英語とはかなり違う特徴があります。これには、ハイランド地方で話されているケルト語の一種であるスコットランド・ゲール語 (Scottish Gaelic) やローランド地方で話されている古い英語をルーツとするスコットランド語 (Scots language) の影響を受けているという背景があるからで、逆にそれがスコットランド英語のおもしろさとも言えるでしょう。

スコットランド英語のルーツは17世紀までさかのぼります。厳密には、それ以前の7世紀頃に、すでに古英語がもたらされているのですが、それはそのままスコットランド語として発展していきました。そして、17世紀になって、その古英語を起源とするスコットランド語を話していた人々がイングランドとの国境である北イングランドの英語と接したのが、現在のスコットランド英語の始まりであるということになります。それ以後、スペルに合わせて発音が変化したり、スコットランド語からの語彙の借用、あるいは、修正を試みるあまり、勘違いなどによる過剰修正をしてしまうハイパーコレクション (hypercorrection) というプロセスを経て現在のスコットランド英語が確立しました。

スコットランド英語には、地域や話者によるバリエーションがありますが、ここでは、教育を受けた都市部の中流階級の話す標準スコットランド英語 (SSE: Standard Scottish English) を「スコットランド英語」と定義しています。発音の特徴としては、独特な「r」の発音で bird が「ビルド」になったり、herd が「ヘルド」に聞こえたりしますが、使っている語彙も独特で、yes の代わりに aye、small を意味する wee、若い男性に対する laddie (女性には lassie) という呼びかけなどさまざまな特徴がありますが、現地に行かない限り、日本人にとってはなかなか接する機会がないのも事実です。

ちなみに、スペース・フィクションの金字塔『スタートレック (Star Trek) 』オリジナルシリーズに登場するエンジニア、スコッティことモンゴメリー・スコット (Montgomery Scott) もスコットランド人です。なんでもスコットランド人には優秀なエンジニアが多いということから、スコットランド人という設定になったようです。俳優のジェイムズ・ドーアン (James Doohan) さんはカナダ人ですが、スコットランド北東部のアバディーン (Aberdeen) のアクセントをベースに役作りをされたそうです。ご参考までに、そのスコッティのセリフの音声が下記のサイトで紹介されています。本物のスコットランド英語とはやや異なるかもしれませんが、その雰囲気をつかむことができます。
http://www.soundboard.com/sb/scotty_star_trek_mr_scott

それとなく雰囲気をつかんだところで、スコットランド英語の特徴を詳しくみていくことにしましょう。




スコットランド英語の発音

スコットランド英語の発音は、他の英語圏と比べて母音の数が少ないのも特徴です。アメリカやカナダ同様、スペル「r」の音はすべて発音しますが、その音は舌を歯茎にたたくようにして出す音や巻き舌に近くなります。また、face や take などの発音が「フェース」、「テーク」に近くなります。スコットランド英語の発音については、「英語の発音」コーナーのスコットランド英語の発音をご覧ください。


スコットランド英語の文法

発音だけでなく、文章の作り方にもスコットランド英語ならではの特徴があります。よって、日本の学校で学んだ英文法が当てはまらない場合が往々にしてあるようです。以下、スコットランド英語の文法の違いについてまとめてみました。

 スコットランド人は「進行形」が好き?
他の英語圏に比べてだんぜん使用頻度が多いのが「進行形」。「あなたは来ますね」という推測の文章も "you will come" ではなく "you'll be coming" と未来進行形になり、さらには、「私は水が欲しい」という状態を表す動詞も進行形にして "I'm wanting water" となります。単に「水が欲しい」だけでなく「今まさに欲しているんだ!」という強調や臨場感を表現したいのかどうかは知りませんが、(日本の)英語の試験では×になりそうな用法ですね。

 完了形も be 動詞と前置詞 after でカンタン表現
スコットランド・ゲール語の影響で、「have + 過去分詞」で表す「完了形」を「be 動詞+ after +-ing 形」でさらっと言いのけてしまう地域もあるようです。たとえば、"He has gone" 「彼は行ってしまった」というのも、このルールに従えば、"He is after going" つまり「行った後」というわけで、"I'm after eating"、"I'm after telling you" など英作文もラクラク、英語の苦手な人にはうれしいかもしれません。しかし、これも、学校の試験では×になるでしょう。

 その他、学校の英語ではNGの例
以下のとおり、まだまだあります(※くれぐれも学校の試験では真似しないようにご注意ください)。

スコットランド英語 一般的な英語 意味・解説
I've got the cold. I've got cold. 「風邪をひいてしまいました。」 一般英語では定冠詞の the は不要。
I go to the school everyday. I go to school everyday. 「私は毎日学校に行く。」 一般英語では定冠詞の the は不要。
My hair is needing washed.
(My hair needs washed.)
My hair needs washing.
(My hair needs to be washed.)
「髪を洗わなければならない。」 一般的な英文法では進行形は使わない。また、needs の後は名詞あるいは to be washed とするのが正しい。
Amn't I invited? Am I not invited? 「私は招待されないの?」 一般的な英文法では amn't は使用しない。
What age are you? How old are you? 「あなたは何歳ですか?」構文的に age = you (人間)となるため論理的に成り立たない。


スコットランド英語の語彙

スコットランド英語特有の語彙の多くは、スコットランド語からの借用です。スコットランド語とは、冒頭にも少し述べましたが、そのルーツは古代英語にあります。現代の北イングランドとスコットランド南東部にあったノーサンブリア王国で話されていた英語が、7世紀に移民してきた話者によってもたらされたのが始まりです。その後、スカンジナビア由来のノルド語やローマによるラテン語の影響、さらにはオランダ語などの影響も受けながら独自に発展し、スコットランド語となったわけです。

以下、スコットランド語から入ってきた英語の語彙をいくつかご紹介します。

単語 意味 備考
aye はい (yes) 他の英語圏でも使用
bairn 子供 語源はゲルマン祖語で、現代スウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語の barn も同源
bonnie 可愛い、美しい 語源はラテン語の bonus と推定
canny 順調な、心地よい、優しい 語源は can 「できる」の語源である古英語の cunnan 「やり方を知っている」
braw 素晴らしい、優れた(外見や服装など) brave の変形
dreich 陰気な、(天気などが)陰うつな 語源は古英語の dreog
drouthy 喉が渇いた、乾燥した  
-ie 「小さい」を表す接尾辞 例:laddie 「若い男」、lassie 「若い女性」、shoppie 「小さな店」、sweetie 「お菓子」
haver 無駄話をする 北イングランドでも使用
Hogmanay 大晦日 語源は古フランス語の aguillanneuf 「一年の最後の日」
ken 知っている 語源は古英語の cennan、古ノルド語の kenna 「理解する」
kirk 教会 語源は古ノルド語の kirkja、古英語の cirice
janitor 学校の管理人 語源はラテン語の ianitor 「ドアの管理人」。アメリカ英語でも使用
muckle 大きな  
ned 不良青年、ゴロツキ 貧しい住居に住みラフなスポーツウェアを着た暴力沙汰や軽犯罪を行なう若者
numpty トンマ、のろま、バカ  
outwith 〜の外側、〜以外 一般的な英語では outside of
peely-wally 顔色が悪い  
pinkie 小指 語源はオランダ語の pinkje (pink + 縮小辞)。アメリカ英語でも使用
remit 職務記述書 一般的な英語では job description
short leet 選考リスト 求人などであらかじめ選考された応募者のリスト
stooshie 混乱 意見の相違や誤解による混乱。語源はおそらく ecstasy の縮小形
scunner 嫌悪 中期英語の skunner 「嫌悪のあまりひるむ」
wee 小さい、少ない、時間の早い 語源は古英語の wæg 「重さ」。ニュージーランド英語でも使用


スコットランド英語の口語表現

たとえば、"I dinnae ken" という表現はどんな意味かというと、その答えはずばり "I don't know" 「わかりません」というのが正解。ここでは、スコットランド以外の人にはわからないユニークな英語表現をいくつかご紹介しましょう。

スコットランド英語 一般英語 意味
D'ye no ken? Don't you know? 「知らないんですか?」
I dinnae ken. I don't know. 「知りません」
Where do you stay (bide)? Where do you live? 「どこにお住まいですか?」
I'm black-affronted. I'm very embarrassed. 「とても困惑している・恥ずかしく感じている」
I'm going for the messages. I'm going shopping for groceries. 「私は買物に行く」
She's ages with him. She's in the same age as him. 「彼女は彼と同い年だ」
I'm feeling a bit wabbit. I feel I'm a bit lacking in energy. 「力が入らない、エネルギー不足」
I was chittering at the bus stop. I was shivering with cold at the bus stop. 「私はバス停で震えていた」
Caw canny. Go easy/Don't overdo it. 「ほどほどにしといて(やりすぎるな)」
What (are) ye after? What are you looking for? (What will you have to drink?) 「何を探してるの?」「何飲む?」(パブなどで)
That's outwith my remit. It's not part of my job to do that. 「それは自分の仕事(担当)じゃない」
I'll come round (at) the back of eight. I'll come round just after eight o'clock. 「8時過ぎに着くだろう」
We're all Jock Tamson's bairns. None of us is better than anyone else. 「みな似たり寄ったり、誰も同じだ」(決まり文句)
I kent his faither. He is no better than anyone else. 「たいしたことはない」「誰でもできるさ」(人の成功に対して皮肉を言うときの決まり文句)
Ach, away ye go! Oh, I don't believe you! 「冗談だろ?」「マジかよ?」(決まり文句)
Aye, right! Yeah, right! (Definitely not!) 「あ、そう!」「なるほどね!」(「違うだろ!」ということを皮肉って逆に言う表現)


参考

以上、スコットランド英語についてご紹介しましたが、ここはひとつスコットランド人っぽくしゃべってみたいという方は、下記のサイトをチェックしてみてください。
http://www.youtube.com/watch?v=mALkCGVA2BU
http://www.wikihow.com/Talk-With-a-Scottish-Accent

発音についての詳しい説明は、「英語の発音」コーナーのスコットランド英語の発音をご覧ください。

スコットランド英語
  http://www.scots-online.org/grammar/sse.htm



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