Posted November 13, 2002

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HoweverBut は違うのである

みなさん、お久しぶりです。今年は何といいますか、新型インフルエンザなんかも流行して大変な騒ぎでしたね。その騒ぎが終わったかと思うと、やたら梅雨が長くて、やっと夏が来たかと思えば、台風、地震で、ほんとに大変な一年ですね。被害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げます。まだ今年は終わったわけではありませんし、まだインフルさんも秋口から戻ってくるかもしれません。今度はもっとパワフルにアップグレードしてくるという意見もありますからね、ほんと、怖いですよ。泣き面にハチ、弱り目に祟り目とはこのこと。みなさん、十分に注意してくださいよー。

ということで、久々にいただいたメールのお便りを紹介しましょう。ところで、最近では、公共の良俗に反することをやっていらっしゃる方々から、これまたよろしくない内容のメールをたくさんいただきますよ。別に、お願いしたわけじゃあないんですけどね、ま、向こうもお仕事なのかもしれませんが、一般に清く正しく生活している人たちにはご迷惑をかけてお金を儲けられるということはちょっといけませんなあ。逆に、ご迷惑メール1件についていくらいくらといった、迷惑料を払って欲しいもんです。

あ、いけませんな、脱線してしまいましたが、それというのも、こういうご迷惑なメールに混じって大切なメールが含まれていることがあり、知らないうちに削除してしまうことが多いんですね。みなさんもご経験あるかと思いますよ。

Re: ○○子からの重要なメッセージ

オヤジさま、こんにちは。さっそくですが、However と But は何か違いがあるのでしょうか?これまで、However は丁寧な言い回しで、But はくだけたときに使うもので、どちらもこれといって違いはないと思っていたのですが、それでいいのでしょうか?

以上、よろしくお願いいたします。

あのー、こういったタイトルの付け方はどうでしょうね、最近では、よく、前述のようなご迷惑メールさんが使いますね、「○○さんから重要なメッセージが届いています」とか、「お問い合わせの件」とか「お振込みの件」なんてのもありますよ。もちろん、お問い合わせした事実もないし、お振込みしたり、される事実もありません。第一、送信元のドメイン名なんかが ajkdoiuchjfir.com なんてね、意味のないアルファベットの羅列だったりしますよ。こんな組織と「お振込み」や「お問い合わせ」のお付き合いはないですからねえ。ですから、重要そうなタイトルが付いているとかえって重要じゃないなんてことになってしまうかもしれません。

ま、それはさておき、However と But ですね。私も英語を習いたてのころは、「しかし、でも」というときが But で、「しかしながら」とかしこまって言うときが However なんてね、テキトーな覚え方をしていたもんです。文章を書くときも、別にどっちでもいいや、と軽い気持ちで使っていましたが、やはりね、私の書いた文章をネイティブさんがチェックするときに直して来るんですよ。But を However に変えたりとかね。最初は、私もあんまり細かいことは気にしない性格でしてね、単純にこのネイティブさんの好みだろうなんて思っていたのですが、何度もこういうことが続きましてね、しかも、However の前にセミコロン(;)なんかが付いて来たりとかで、これはなんかあるな、と思って調べたことがありました。で、その結果、ユリイカ!(Eureka) なんてことになったわけです。

つまり、However と But は決して全く同じではないんですね。もちろん、意味的には似た言葉であるわけですが、そのニュアンスや用法は異なり、場合によっては、その受け取られ方は全く違うという意見もありますよ。まず、その違いをざっとまとめてみましょう。

-- However But
例文 Your product is excellent; however, it may be a little expensive for us.
Your product is excellent. For us, however, it may be a little expensive.
Your product is excellent, but it is too expensive.
品詞 副詞 接続詞
用法 直前の節を修飾する→関連性を持たせてつながりを表現
直前の節を肯定しながら異なる内容を述べる
直前の節の余韻を残しながら、次の節に移る
直前の節の内容と続く節の内容の心理的ギャップ、インパクトなどが弱い
続く節の内容がソフトランディングする
節、句、語をつなぐ→並列的、物理的につながりを表現
直前の節を否定する、あるいは関与しない
直前の節の余韻は残さず、いきなり次の節に移る
直前の節の内容と続く節の内容の心理的ギャップ、インパクトなどが強い
続く節の内容がハードランディングする

いかがでしょうか。まず、「しかし」という反対の内容を述べる場合、大きな違いとして「品詞の違い」というものがありますね。However は「副詞」、But は「接続詞」ということですよ。日本語の「しかし」というのが接続詞だからということで、つい、どちらも接続詞だと思ってしまいがちですが、これは、実は違うわけです。では、英語の副詞 (adverb) というのはどういうものかと言いますと、これは、動詞や形容詞、節(主語および動詞を含む単語のグループ)、文章など、名詞以外の文章のパーツを修飾する働きがあります。それに対して、「接続詞」 (conjunction) というのはですね、ただ単純に前後のものをつなぐだけだというわけなんです。

ですから、However と But、どちらも前後の内容をつないでいるように見えるのですが、厳密に言えば、However は修飾し But は接続ということですね。じゃあ、However は修飾語なので、前の節と後の節がつながっていないのか?と言うと、そんなことはなく、やはり、微妙につながっているわけなんです。ということもあってですね、上の例文を見ていただければわかりますが、But の場合はただ単に、並列的につなぎますから、その前にはコンマを使って表現します。ところが、However のほうは、前の節を修飾して関連性でつなぎますので、最初の例文のように、次の節の頭に来る場合は、コンマではなく、コンマよりもやや離れた感じのする「セミコロン」を使うのが普通です。もっとも、セミコロンの代わりにコンマを使う方もおられますけどね、これは、まあ、こういった基本ルールがあるということで覚えておきましょう。二番目の例文のように挿入される場合は、前後のコンマで表現しますよ。

次にですね、実際、どんなニュアンスの違いが出るか、というようなことを考えてみましょう。これは、みなさん、まだ子供さんだったころなんかにね、よく、親や先生などに「もっとお勉強しなさい、成績を上げなさい」なんてことを言われた経験をお持ちだと思いますけど、いかがでしょうかね?私もよく言われましたからねえ。なかなか、逆のことは言われませんよ、「お前は勉強しすぎだから、もっと怠けなさい」なんてね、まあ、中にはおられるかもしれませんが、あまり聞かない話ですなあ。それでですね、やっと学生を終わって社会人になっても、これがまた、言われるわけですよ、「もっと利益を上げろ」とか「もっと実績を上げろ」なんてね。でも、「もっと経費を使え」ということは言いませんねえ。もっとも、最近になって、「そんなに残業をするな」とか「労働時間を減らせ」なんてことも言われていますが、これは、裏を返せば、経費を減らせ、在庫を減らして損失を防ぎたいといった、やはり、利益を上げろということを逆に言っているだけで、企業というものはですね、利益を上げなきゃ存在意義がなくなりますから、仕方ないわけですがね。

まま、ちょっと話がそれてしまいましたが、「もっと成績を上げなさい」ということを英語で言ってみると、

You must improve your grades.

なんてことになりますが、これが、相手の立場に立って話をしようという心がけのある親や先生なら、

You are a very good student; however, you could improve your grades.

You are a very good student, but you could improve your grades.


「キミは良い生徒だけど、成績をもっと上げなさい」てなことで、ここで、However と But の微妙な違いが出てきますね。つまり、However のほうは、前の節である「You are a very good student」を修飾していますから、「良い生徒である」という部分をきちんと考慮していますよ、という暗黙のメッセージになるんですね。つまり、その部分について反論を唱えようとするというよりも、それに追加してこういうことを言いたいということになるわけです。ですから、相手にとっても、「自分のことをわかってくれたうえで言ってくれているな」という気持ちになりますが、But のほうは、「良い生徒」だという点はもうどうでもいいわけですね。「良い生徒」かもしれないけどそれは関係ないんだ、結果がすべてだよ、といったようなちょっと冷たいものが感じられるかもしれませんね。

まあ、However や But を使うのは、何も上に挙げたような場合ばかりじゃありませんからね、もっと一般的に言いますと、However では、前の節の内容の余韻を残しながら、後に続く内容に移行するのですが、But にはそういった余韻を残さず次に続きますから、次に来る節の内容に、よりインパクトやショックを感じさせることができるというわけなんですね。ということでですね、ま、ビミョーなんですが、基本的にこういった違いがあるということです。

というわけで、最後に今日の説明をまとめまして、おなじみの「一句」を詠んでみますかな。
それでは、みなさん、ごきげんよう!