Last update January 19, 2015 (Originally posted in 2001)




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>Last update January 19, 2015 (Originally posted in 2001)


冠詞とはこう付き合うべし

では、さっそく、始めてみましょうね。今日は、実は、カヨちゃんという女性の方からこんなご質問をいただいていますよ。ありがたいことですねえ。こうして、ご質問をいただくことで、私のほうも随分とお勉強になりますものねえ。さっそく、本題に入りましょうか。では、ご質問内容、紹介してみましょう。

オヤジさま

さっそく質問させていただきます。私は今、英文マニュアルのチェックをしています。でも、なかなか理解できないのが、冠詞なんです。「画面が表示される」という内容の文章がいくつかあるんですが、同じような文章なのに、不定冠詞を使っているものと定冠詞を使っているものがあるんですよ。ネイティブの方にもお聞きしたんですが、どうも納得できる答えがもらえなくて困ってます。できれば、どちらかに表現を統一すればすっきりすると思うんですが ニュアンスなど、どう違うのか教えてください。下に例文を上げておきますのでよろしくお願いしまーす。

カヨ

The screen for setting the density level will appear.
A confirmation screen will appear.


ということですね。う〜ん、これはどうでしょうね。ネイティブさんにも相談された ということですが、私が思うのにはですね、ネイティブの方にはやはりわからないと思うんですよぉ。いえいえ、冠詞がわからないということではなくて、日本人が冠詞についてわからない、ということがわからないということですね。ネイティブの皆さんはもともと英語が母国語ですからね、つまり母なるランゲージなわけですよ。小さい頃から自然と身についたものですからね、冠詞というものが無い日本語を話している日本人が、どこがどうわからないか、深く理解できないと思いますよ。当然のことですがねえ。そこに行くと、この私なんかは日本人ですからね、よぉく解るんですよ。私も冠詞というのは苦労しましたからねえ。いや、今でも苦労することがありますよ。

ついでに言ってしまいますとね、(ここだけの話ですよ、)どうも日本で使われている英文法の本なんかは、もともと、英語圏の人が、英語圏の人のために、英語で書かれた本をそのまま日本語に翻訳しちゃったんじゃないかと思うんですよ。つまり、英語圏の英語圏による英語圏のための本を日本人が読んで理解できるでしょうか、ということなんですよ。こんなこと言うと、専門家の方に怒られちゃうかもしれませんけど。ね、皆さん、これどう思われますか?たとえばね、国語の名前には定冠詞を使うとか使わないとか、湖には云々とか、橋には云々とか、私たちが学校で習った英文法の本に出てくるようなことが書かれていますよ。あれはねえ、もともと冠詞という考え方や概念が感覚的に身に付いていらっしゃるネイティブの方のためのものだったら、ああいった場合分けのような説明の仕方で通用すると思うんですけどねえ。

ズバリ、私はですね、冠詞というものは「修飾詞」と考えているんですよ。修飾詞と言ってもね、飾り立てることじゃあないんですよ。女性がお化粧をしたり、お洒落するのとは違うんですよ。女性のお洒落は、好みの問題でね、なかには、そこまでしなくても、と思う人もありますが、この「修飾語」というのは え?なんですか?ああ、そうですね、こう言う事を言うと「セクハラ」になるんですよね。すいません、すいません。それで、この修飾詞というのは決して「飾り」ではない。これを英語で言うと modifier と言いましてね、辞書を引きますと、「ある言葉を詳しく描写したり、意味を限定したりするもの」という具合に書かれていますね。だから、修飾詞ってのは、ほんとはとっても大事な役割をしているということですね。冠詞というものは修飾詞である。ということは、ある言葉を説明したり、意味を限定するという働きがある、つまり、立派な情報を持った「ことば」ということなんですよ。

じゃあね、一体、冠詞がどういう「情報」を持っているのか、ということになりますね。そこでですね、ちょっと具体的な例をあげてみましょう。みなさん、おリンゴ好きですか?私はリンゴ大好きでね、かじっても歯茎から血が出ないんですよ。(関係ないですね、失礼。)では、わかりやすくするために、リンゴを使って「冠詞の有るとき、無いとき」また「定冠詞のとき、不定冠詞のとき」というのを絵で表現してみましょう。

不定冠詞
文字通り「リンゴ1個ください。」というときの「リンゴ」で、任意のリンゴを指す。 a, an  one と同じ意味で「ひとつ」を意味する。

定冠詞
「例のあのリンゴ持ってきて」といった条件付きの「リンゴ」で、たとえば、かじりかけて置いておいたリンゴ。任意ではなく、限定度が高い。 the の語源は指示形容詞の that 

無冠詞
「リンゴ」というおぼろげな概念があるだけで、具体性はない。つまり、任意性もなく、具体性もない、バーチャルなリンゴでしかない。


という具合になるんですがね。よく引き合いに出される「例え」ですけどね。これ、私のオリジナルの「例え」かと思いましたがね、あるとき偶然、とある偉いセレブの方がね、自分の本に同じような「例え」を出してましたよ。いえ、私が真似したんじゃないですよ。ひょっとしたら向こうが私の真似をしたのかもしれませんけど、まあ、向こうのほうが有名ですからね。そう言ったところで誰も信じてくれません。別にいいんですけどね。おっと、話が脱線してしまいましたね。

つまり an apple の場合、「1個の、どれでもいい」という情報が含まれているわけですね。「an apple ください」と言うと、話し手も「リンゴだったらどれでもいいよ」ということを暗に言ってるわけで、聞き手のほうも「あ、どのリンゴでもいいんだな」と思うわけです。

ところがですね、次の「かじりかけのリンゴ」。このリンゴですが、例えば、私がリンゴをかじりかけてそのままテーブルに置いていたとしますね、すると家内がですね、「あら、またこんなところにかじりかけのリンゴ置いてるんだから」とブツブツ言ったりするわけですね。まあ、私もあんまりガミガミ言われるとうるさいですから、Bring me the apple (「そのリンゴ持ってきて。」)と言うわけです。そうすると家内はですね、テーブルの上には新しい(かじっていない)リンゴが他にあるにもかかわらず、わざわざかじりかけのリンゴを持ってくるわけです。こんな具合に、the apple には、「例の、そのリンゴ、あのリンゴ」といった情報が含まれていて、お互いの信頼関係や前後のつながりなどから聞き手にもどのリンゴかがわかる、というような前提があるんです。いかがですか?

では、無冠詞の場合はっていうと、上の絵では「おぼろ」リンゴになってますが、これは何を言いたかったかといいますとね、「名詞」として「カタチが無い」とでもいいましょうか、「具体性がない」とも言えますね。つまり、話し手と受け手の頭の中に具体的なイメージが浮かんでいない状態なんです。「1個」とか「複数個」とか、話題になっているリンゴといった「名詞」として具体的じゃない。ということは、厳密には「名詞」として扱われていないとも言えます。

どういう場合があるかと言うと、the color of apple is red とかいうときの apple ですね。ここには、an も the もないですね。単なる apple だけです。これは「リンゴの色」ということで、ここでの名詞は「色」です。だから color には the がついてますね。でも、apple には何もついていない。ここの apple は「リンゴの」という修飾語にしかすぎないからなんです。いやー、難しいですね。確かに、「冠詞」ってのは。ここだけの話ですがね、「冠詞なんて簡単」なんて言う人がいますけどね、あれウソだと思いますよ。英語のライティングを深くやってない人だと思いますね、そういうことが言えるのは。いろんなケースがありますからね、ネイティブさん同志でもよく議論されたりしますよ。ですからね、ここの説明だけですべてわかるものだなんて思ってませんよ。また、冠詞については、いつか機会を見てもう少し詳しくやってみたいですけどね。



というようなことで、ちょっと時間無くなってきましたね。あまりゆっくりしすぎましたかね。じゃあ、ここらへんで結論よろしいですか?カヨちゃん、これはやはり、定冠詞か不定冠詞か、どちらかに統一するということは出来ないのではないか、と私は思うんですよ。

a confirmation screen というからには、読み手にとっても「初めて登場」した画面ということもありますね。前の文章とかで説明した画面じゃなく新しい「画面」という情報も込められてますね。ですから、ここが The confirmation screen となっていると、その screen のことはすでに前の文章や段落などに出てきているはずなんですね。だから、読む人も「あ、どっかで出てきた画面だな」と思うわけです。これはカンタンな理屈なのでわかりますね。

それと同時に、「任意性」、「匿名希望」のようなニュアンスを持っているのが不定冠詞だとも言えますね。たとえば、このリンクをクリックすると「何がしかの画面」が出るから OK ボタンを押して といったときの「何がしか」に近いですね。似たような画面が他にもあって、そのうちのひとつだといった位置付けですね。ソフトのインストールなんかしててもよく出てきますねえ。指示に従って OK だとか Cancel だとかをクリックしてればいいやという画面。あの類の画面だと理解することもできると思うんですね。

逆に the screen for setting ... になると「density level を設定する画面」ということで、他の画面とはちょっと違う。「任意性」や「匿名性」がなくなって「限定度」が高くなるんですよ。書き手としては区別したいわけです。「修飾詞」ということで言えば、a screen と言うより、the screen と言うほうが修飾する度合が高くなりますから、どういうものを指しているのかがより具体的になるわけです。

すなわち、ですね、これは書き手がそれなりの情報や、読み手に感じさせようとする暗黙のメッセージをだのthe だのにちゃんと込めているということなんですよ。たぶん、無意識のうちにそうしてるのかもしれませんね。でも、絶対こっちのほうが正しいというようなルールは明確に無い場合もありますよ。たぶんネイティブの方によっても、意見がね、違ってくることもあるんです。ですから、その部分はある程度、ネイティブ・ライターの方にしかわからない「聖域」のようなものになってしまう部分もありますね、残念ながら。その部分に、何て言いますかね、こう、「挑む」というようなことをしようと思えば、自分もそれ位の見識を持っておかなければならん、というわけですね。

ということでですね、みなさん、だいたいのところ、おわかりいただけたでしょうか?

じゃあ、最後に今日の説明をまとめまして、一句詠ませていただきましょう。
それでは、みなさん、ごきげんよう!