なんと言っても日本語らしさの一つは、擬音語、擬声語、擬態語が豊富なことです。それを英語で伝えるためには、まず深く理解することが必要になってきます。ここでは、日本語のオノマトペを解明してみました。



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Last update March 1, 2020

解明!日本語のオノマトペ (2)

清音と濁音の印象の違い

同じような音を表す語であっても、たとえば、「トントン」という音と「ドンドン」という音があります。

ここでは、そういった濁る音と濁らない音のオノマトペの違いについて考えてみたいと思います。

「トントン」と「ドンドン」では、「と」(清音)と「ど」(濁音)の違いがあるだけですが、やはりそのイメージは異なります。ドアを「トントン」とたたく場合は、「入ってもいいですか」という軽いノックですが、「ドンドン」とたたく場合は、緊急時などで「早くドアを開ろ!」というように、たたく力も強く、音も大きくなる印象があります。

そういった清音と濁音のイメージの違いをまとめてみると次のようになります。

Seidaku

一般的な傾向として、濁音には清音にくらべると、「重たく、濁ったような、不快なイメージ」があり、大きさ的にも「大きく」なり、どこかカラっとせずに湿った印象がありますが、清音にはその逆の印象があります。

なお、清音とは無声音であり、[k]、[p]、[t]、[s]、[f] などの音を言い、濁音は有声音で、[g]、[b]、[d]、[z]、[v] などの音を指します。

開口度による印象の違い

固いものをかじるときなどのオノマトペとして「パリパリ」と「ポリポリ」がありますが、ここでは、こういった口の開け方による印象の違いについて考えてみたいと思います。

一般的な日本人の感覚としては、「パリパリ」というと「おせんべい」のような面積の広いものをかじっている感じがあり、「ポリポリ」というと「かりんとう」のような細いものをかじっている印象があります。

ちなみに、音象徴という専門分野では、母音の口の開け方と「大きさ」のイメージの関連性が研究されており、「口の開け方が大きい→大きなものを連想させる」という仮説が証明されている研究結果もあるようです。

この傾向が万国共通かどうかは今後の研究にゆだねるしかありませんが、少なくとも筆者を含む日本人の感覚としては、ほぼ「口の開け方が大きい→大きなもの」というイメージは適用できるのではないかと思います。

Kaikodo

口の大きさは、舌の位置が下にくるほど開け方が大きくなり、同様に、奥に行くほど大きくなります。舌を上下あるいは前後に動かすことで、口の大きさ(口の中の空洞)が変化するわけです。

まず、上下の位置でみると、「あ」の母音を発音するときには舌の位置が最も下にあり、「え」や「お」のときは中間にあり、「い」や「う」のときは上の位置にあります。大きさのイメージも、「あ」→「え、お」→「い、う」の順に小さくなっていくわけです。「ぱりぱり」が「ぽりぽり」より大きいのがわかりますね。

次に、前後の位置でみると、「い」のときは舌の位置が前にあり、「う」のときは後ろに来るので、「い」より「う」のほうが大きな印象があります。同様に、「え」より「お」のほうが大きなイメージになるわけですが、その母音の前後にくる音によって口の開け方が異なる場合もあるため、「え」のほうが「お」よりも大きいイメージを感じることもあるかもしれません。あくまでも、一つの目安としてご理解ください。