Last update March 24, 2022

ウェールズ英語の発音

発音の同化と分裂

ウェールズ英語における発音の同化 (merger) と分裂 (split) の傾向をまとめると以下のようになります。

発音の同化

 fern、fir、fur の同化
ほとんどの国の英語に該当する特徴ですが、「r」の前の /ɛ/、/ɪ/、/ʊ/ が同化して同じ発音になる fern、fir、fur の同化 (Fern–fir–fur merger) がみられ、ウェールズ英語では /ɜː/ となります。また、カーディフなどの地域では、口の開け方がより小さく、舌の位置がより前方にくる /øː/ の音になる傾向があります。

 pourpoor の同化の不在
スコットランド英語やアイルランド英語と同様に、イギリス英語にみられる pourpoor の同化 (Pour–poor merger) はウェールズ英語にはみられません。そのため、pourpoor の発音が区別されます。

単語 ウェールズ英語 イギリス英語
poor /pʊə/ /pɔ/
pour /po/ /pɔ/

 winewhine の同化
他の英語圏でも一般的な傾向になっていますが、whatwhich などの「wh」の部分の発音が wine などの「w」の音と同化する winewhine の同化 (Wine–whine merger) がウェールズ英語でもみられます。

発音の分裂

 trapbath の分裂の不在
イギリス英語では /æ/ の音が /f/、/s/、/θ/、/ð/、/z/、/v/、または鼻音の前にくる場合、/ɑ:/ に変化する trapbath の分裂 (Trap–bath split) がみられますが、ウェールズ英語では、いずれも /a//aː/、あるいは /ɛ/ で発音されます。

単語 ウェールズ英語 イギリス英語
trap /trap//trap//trɛp/ /træp/
bath /baθ//baθ//bɛθ/ /bɑθ/