舌先を上顎(あご)につけてうんぬん、かんぬん… と言われてもね。ところで上顎ってどこのこと?顎に上も下もあったもんじゃない、顎は口の下に決まってるじゃん。「イー」の口の形をしたまま「エー」と言う?そんな器用なことできない、何度やっても「イエー」になってしまうよー。そうですね、よくあることです。その他、口蓋だとか無声子音だとか専門用語が出てきて、もうその時点でギブアップ。そんな発音のカベにちょっとだけ穴を開けてみましょう。



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Last update December 31, 2018
 母二人「おう」

[oʊ] の発音

ここでは、「おう」の発音について説明しますが、その前に、母なる音、つまり母音(ぼいん)についてみてみましょう。

学校でも習ったと思いますが、母音とは「あ、い、う、え、お」の音のことを言い、それ以外の「b」、「c」… すべての音は子音(しいん)と言います。日本語では、どの音にも必ず母音が存在します。「b」だけとか「t」だけの音というのはなく、「あ行」の音(母音)と組み合わさって「ば」([b] + [a])、「と」([t] + [o]) という音になります。それに対して、英語では子音だけの発音が存在しますから、日本人にとって、純粋に子音だけの音を出すというのがむずかしいのです。

それはさておき、この「母二人」の意味ですが、これは、母音が2つ結合した発音ということで、専門的には二重母音と呼ばれます。ここで取り上げる「おう」の音もそんな二重母音の一つです。

さて、一般的に洋の東西を問わず、「母」というものはガミガミとうるさい存在のようで、母にとって子供はいくつになっても子供で、ついうるさく言いたくなるようです。最近では、高齢化も手伝って母も長生きしますので、50歳や60歳になった子供(もう父や母の役割を終えてじーじー、ばーばーになる年代)が、80歳を過ぎた母に小言を言われることもめずらしくありません。そんな母が二人もいて、同じテンションで来られたらたまりません。

というわけで、二重母音では、最初に来る母音を強く発音し、もう一つの母音は「添える」感じで発音します。

では、さっそく「おう」([oʊ]) の二重母音の発音を練習してみましょう。

1. 「お」の音を出します。

2. 「お」の音を出しながら「う」の音を添えます。

「お」と「う」の音を同じ強さで発音するのではなく、「お」に強勢を置くつもりで発音します。ちょっと悪びれた「あんちゃん」たちが「挨拶」するときに「おう!」という、あれに近いタイミングですね。

 このとき、くれぐれも「お・う」にならないように、ふたつの音を一気に発音してしまいます。図示すると以下のようになります。



以上が「おう!」の発音です。





では、せっかくですので、その他の二重母音についても覚えましょう。英語の二重母音には次のようなものがあります。

 [aɪ] [aʊ] [ɪə] [eɪ] [eə] [ʊə] [ɔɪ]

「おう」と同じ要領で発音していただけばいいのですが、いちおう練習してみましょう。

「あい」 ([aɪ]) の発音


1. 「あ」の音を出します。

2. 「あ」の音を出しながら「い」の音を添えます。

「あ」と「い」の音を同じ強さで発音するのではなく、「あ」に強勢を置くつもりで発音します。

「あう」 ([aʊ] の発音


1. 「あ」の音を出します。

2. 「あ」の音を出しながら「う」の音を添えます。

「あ」と「う」の音を同じ強さで発音するのではなく、「あ」に強勢を置くつもりで発音します。

「いあ」 ([ɪə]) の発音


1. 「い」の音を出します。

2. 「い」の音を出しながら「あ」の音を添えます。

「い」と「あ」の音を同じ強さで発音するのではなく、「い」に強勢を置くつもりで発音します。

「えい」 ([eɪ]) の発音


1. 「え」の音を出します。

2. 「え」の音を出しながら「い」の音を添えます。

「え」と「い」の音を同じ強さで発音するのではなく、「え」に強勢を置くつもりで発音します。

「えあ」 ([eə]) の発音


1. 「え」の音を出します。

2. 「え」の音を出しながら「あ」の音を添えます。

「え」と「あ」の音を同じ強さで発音するのではなく、「え」に強勢を置くつもりで発音します。

「うあ」 ([ʊə]) の発音


1. 「う」の音を出します。

2. 「う」の音を出しながら「あ」の音を添えます。

「う」と「あ」の音を同じ強さで発音するのではなく、「う」に強勢を置くつもりで発音します。

「おい」 ([ɔɪ]) の発音


1. 「お」の音を出します。

2. 「お」の音を出しながら「い」の音を添えます。

「お」と「い」の音を同じ強さで発音するのではなく、「お」に強勢を置くつもりで発音します。

最後に、実際の発音を聞いてみましょう。二重母音の音だけでなく、それを含んだ単語の発音になっています。


「おう」の音

(go 「行く」)

「あい」の音

(by 「~によって、~のそばに」)

「あう」の音

(cow 「牛」)

「いあ」の音

(ear 「耳」)

「えい」の音

(name 「名前」)

「えあ」の音

(air 「空気」)

「うあ」の音

(poor 「貧しい、かわいそうな」)

「おい」の音

(boy 「少年」)