Last update August 23, 2019

自分のレベルを知る (3)



日常会話レベル

このセグメントの人は、一人で海外旅行したり、買物したり、いわゆる英語圏での日常生活には不自由しません。また、英語圏の友だちといっしょに遊んだり、日常的な会話を楽しんだりすることもできます。英語の発音やイントネーションなどもいちおうできている段階で、相手の言っていることもわかるし相手にも通じさせることができるという段階です。

ちょうど、高校生くらいで英語圏に1~2年留学し、現地の人たちの中で生活して帰国したレベルだと言えるかもしれません。見た感じも非常に流暢に英語をしゃべっていたりします。友人あての英文の手紙などもすらすら書くことができます。日本に来た外国人を観光名所に連れて行って、だいたいの説明をすることもできます。「英語で会話をすることが楽しい」と思うのもこの段階からでしょう。

しかし、英語的には少年少女の段階で大人の本格的な英語ではないと考えることができます。日常的な内容のことなら不自由しませんが、高度な内容や抽象的な話になると語彙力や表現力がついていきません。英語にも、微妙なニュアンスの言いまわしや婉曲的な表現はありますが、このレベルではダイレクトに表現することにとどまっているようです。

つまり、まだ表現能力には乏しい段階です。英語の文章を書いても、どことなく稚拙になります。よく、自分で正式な文書の翻訳などをして、ネイティブチェックで全部書き直されたが、間違っていないのになぜ?といったような経験をするのもこの段階です。自分が今使っている以上の表現レベルがあるという認識もないのが普通です。自分は「できる」と思っていますから、なかなか認識に至りにくいこともあります。

逆に言うと、このレベルで止まってしまう人も多いということです。日本でも英語が少しできるという人の中で、このレベルにとどまっている人が最も多いのではないかと思います。何を隠そう筆者自身もそうでしたが、この段階でヘンな自信を持ってしまうので、これ以上努力しようという気が起こらなかったり、自分の英語はまだまだなのにそれが認識できず、イヤな体験をしてイヤになって中断してしまうということもあります。

ここで、これ以上努力してさらなる上達をめざそうとするかどうかは、その人の状況・環境に左右されるところが多いと思います。筆者の場合、大学を卒業して社会に出たころがこの段階だったかなと思います。もし、英語のプロフェッショナルとしての職種を選ばずに違う道を選んでいたとしたら、この段階で終っていたかもしれません。実際に、この段階で、あまり英語を使わない環境を選んだりしてそのままになっている人も多いはずです。





個人的な意見ですが、ここからの継続がヤマ場ではないかと思います。英語アレルギーの人は、まず、それを克服するのが「ヤマ」ですが、第2段階の「日常会話予備群」から「日常会話レベル」までは以外と到達しやすいと思っています。しかし、この「日常会話レベル」から次の「本格的コミュニケーションレベル」までに至るのが、けっこう困難だと言えるでしょう。

それには、「続けよう」という気持ちの問題もありますし、英語としても高いハードルがあります。日常のレベルから離れて、仕事や正式な場で通用する本格的な英語力を身につけるわけですから、決してカンタンではありません。ファッション感覚で使っていた英語ではなく、もっと深く、広く、英語という言語の「特性」を意識したような勉強も必要です。英語のニュース雑誌や番組などもチェックして、思想やコンセプトを表現するときの語彙や言いまわしなども覚える必要があります。

生活レベルの会話なら使うこともないかもしれませんが、友人と国際問題について議論するといった場合には、日常生活レベル以上の語彙や表現も必要になってきます。そういった内容の話ができてこそ、コミュニケーションのおもしろさがあるわけで、上っ面のおしゃべりだけでは得られない充実感もあります。

ですから、このレベルの人はまず、自分の英語はまだまだ先があると素直に認めて(筆者もそこがスタートでした)、語彙や表現のストックを増やす、時事問題やコンセプチュアルな内容を英語で勉強する、そしてそれをアウトプットする、というプロセスを繰り返しながら、次の「本格コミュニケーションレベル」をめざすことです。

 前ページへ | 次ページへ