Last update August 23, 2019

自分のレベルを知る (2)



日常会話予備群

このセグメントの人は、そばに英語しか話せない外国人がいたり、国際電話がかかってきたりした場合は、なんとか自分の知っている範囲で話そうとする人です。英語に対する拒否反応はありません。学校の英語の成績もまあまあだったという人が多いと思われます。英語で書かれた文章なども、必要とあらば、辞書を引き引き、細かい部分は別にして、だいたいこんなことが書いてあるという内容を掴むことができます。また、英文でメールを送らなければならないという必要性のある場合も、簡単な文章ならなんとか作ることができるというレベルです。単語のスペルなどもけっこう覚えているほうで、簡単なものであれば、正しく綴ることができます。

しかし、この段階では、まだ発音なども本格的な英語の発音ではありません。イントネーションやアクセントも日本語的で英語のリズムにはなっていない場合が多いと思われます。そのため、外国人には通じなかったりすることもあります。文章も英作文のレベルで、当然ながら表現も一通りの表現しかできませんし、この言い方がダメならこの言い方はどうか、といった言い換えもむずかしいでしょう。また、リスニングも簡単なものしか聞き取れません。この層の人はまず、本格的な英語の発音、リズム、アクセント、イントネーションなど、「音」としての訓練が必要です。

それには、まず、自分の口で本格的な発音やアクセントができるようになり、英語のリズム、イントネーションで文章が読めるようになることが必要です。それと同時に自然に聞き取れるようになります。「話す(発音する)」と「聞く」が別々に向上するということはありません。「音」や「リズム」を認識できない限りは、その通りに話すことも聞くこともできないわけです。ですから、「話す(発音する)」と「聞く」はひとつのものだと思ってください。

そのためにはどうしたらいいか?それは一言で言うと、「模倣に始まり、模倣を繰返し、模倣に終る」ということです。モデルとなるネイティブの発音やリーディング(スピーキング)を徹底的に真似します。





ただ同じように読んだらいい、といった生易しいものではなく、声の上げ下げ、単語間の間(ま)の取り方、息継ぎ、リズムなど徹底的に模倣するのです。それこそ「物まね」の世界です。ここでひとつ注意したいのは、モデルの選び方です。まず、どこの国の英語をモデルとするかということです。アメリカでもイギリスでも良いのですが、国際語として身につけるわけですから、できれば、あまり偏った「地域」の英語でないほうがよいでしょう。アメリカ南部の訛(なま)りのある英語だとか、(エイがアイに聞こえるような)オーストラリアのローカルな発音などは避けたほうが良いでしょう。まあ、そういった固有の英語を使っている教材などもないので心配はないでしょうが。

また、仕事などでヨーロッパの人と話す場合が多いというのであれば、waterが「ワラ」、I want to が「アイ・ワナ」、twenty が「トゥエニー」などに聞こえる、「アメリカンばりばり」の発音は避けたほうがいいでしょう(。あまり歓迎されないかもしれません。

筆者もアメリカ英語をモデルに発音していたので、ヨーロッパ人に「あなたの英語はアメリカンですね。アメリカに何年いましたか?」とか、「2か月くれたら、あなたの、そのアメリカ英語を矯正してあげるよ」、「英語はもともとイギリスの言葉なのに、日本ではなぜイギリス英語を教えないの?」などと言われたことがあります。逆にアメリカ人はアメリカ的な発音でなくても、ほとんど気にしません。アメリカ人がヨーロッパで話をしているのを聞いて、イギリス人が「あれは英語じゃない!」などと言ったとかいう話も聞いたことがあります(もっとも、最近ではこういう傾向も少なくなってきていると思われます)。

かと言って、日本ではアメリカ英語をベースにした教材が大半ではないかと思われますので、モデル選びがむずかしいと思いますが、要は「ワラ、ワナ、トゥエニー」などといった発音が目立つものはモデルにしないほうがよいのではということです。いろんな英語圏の英語については、サイト内の「世界の英語」コーナーを参考にしてください。

また、ずっと同じネイティブについて教えてもらいながらお手本にするといった場合は、男性なら男性、女性なら女性のスピーチモデルを選んだほうが良いでしょう。やはり、しゃべり方やイントネーションなどが違ってきますので、性別・年齢なども自分に近いモデルを選ぶことが望ましいでしょう。ただ、こういったことは、環境や状況によってむずかしい場合もありますので、あくまでも理想論です。

そうして、英語らしさが身についてくると、自信もついてきますから、いわゆる「決まり文句」なども覚えると良いでしょう。単語数も増やしていきます。とにかく、一日に一回、少しでも英語に触れること、これがポイントになってきます。そうして、次のステップである「日常会話レベル」をめざすわけです。

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