方言について

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中英語期の方言分布図




Source: THE ENGLISH LANGUAGE by David Crystal
方言 方言は中英語期になって突然出来たものではなく、古英語期から存在していたのはもちろんのことです。しかし、1476年にイングランド最初の印刷が始められ、情報を伝達する手段が生まれると、誰もが理解できるような「標準化」への道を歩み始めます。同時に印刷というメディアを通して標準語が広まるようになります。古英語期にはそれぞれの多様性を備えながらのびのびと存在してきた「方言」も統合されたり、いずれは消失したりという運命をたどっていくことになります。

中英語期の方言は、古英語期の「ウェストサクソン」 (West Saxon) 地域のものが「南部方言」へと発展し、「ノーサンブリアン」 (Northumbrian) 方言が「北部方言」へ、マーシア方言 (Mercian) が「東ミッドランド」 (East Midland) と「西ミッドランド」 (West Midland) に分化した形で存在しています。ケント方言 (Kentish) はそのまま変わっていません。


特徴比較

方言によってある程度決まった特徴はありますが、一概に決めつけられない部分もあります。例えば、二つの地域の境界にあたる地域に住んでいたり、いろんな地域を旅行していた人の書いた文章であれば2つ以上の方言が混ざってくるわけです。

特徴NorthenSouthernEast MidlandWest MidlandOther Areas
動名詞語尾-and(e)-end(e)-ind(e)-ing
三人称単数動詞語尾-s
複数形動詞語尾-es-eth-es-eth-en
三人称複数人称名詞they, their, themhi, here, hemthey, their, them
単語(石)stanestone
単語(教会)kirkchurch
単語(キツネ)foxvixenfoxfox


標準語への道
さて、こういった各種方言の中からどれが「標準語」になったかということですが、英国で最初に印刷を始めたカクストンは結果としてロンドン周辺の言葉を選びました(上の地図の三角で囲んだ地域)。つまり、東ミッドランド地方の方言ということになります。

もちろん、印刷に携わるカクストンの選択はなんと言っても決め手になりますが、いろんな意味でこの地域の言葉を標準とするにふさわしい理由がありました。上の地図中の三角地域は、ロンドン、ケンブリッジ、オックスフォードを含む文化的、社会的中心でもあり、肥沃な農業地帯でもあり、当時さかんだった羊毛産業の中心でもありました。人口が最も多く、また北部・南部の間に位置していることからも両地域への情報伝達の「橋渡し」役でもあったわけです。

15世紀も終わりになると、この中央地域と周辺地域の格差はかなり大きくなり、中央で話される言葉は正しく、教養があり、周辺地域のものは無教養で劣っているという認識をされるようになります。