Posted November 13, 2002

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みなさん、お久しぶりですね。暑い夏も終わり、秋も深まり、もう木枯らしの吹く寒い冬がやってきますよ。私のように年をとってくると、さすがに寒さにはこたえますね。お炬燵などがそろそろ欲しい季節ですが、あ、みなさん、この漢字わかりますか?「炬燵」と書いて「こたつ」と読みますよ。今どきこんな漢字書ける人はなかなかいませんよね。私も書けなかったんですがね、ある日、日本語の得意なアメリカ人がおりましてね、彼に「Toshi はこたつという漢字が書けるか?」と聞かれましてね、書けないと言ったら、彼が得意そうに、僕は書けるんだとか言ってスラスラ書くんですよ。で、ちょっと悔しい思いをしましてね。私もどちらかと言いますと、負けず嫌いですから、それを機会に覚えたんですよ。もちろん懐炉なんてのも書けますよ。これは「カイロ」ですね、カイロと言ってもエジプトの首都ではないですよ。は、は、は…。

ということで、今日のお便りは誰からでしょうね。ええーっと、「ポポリン」さん、ですか。可愛らしいお名前ですね。どんな人でしょうね?いや、人間とも限りませんがね、ちょっと見てみましょうか。マウスポインタ合わせてくださいね。

 &%$#!!!! あ。何なんでしょうね、これは… なんかヘンなものを見てしまいましたよ。はー、何でしょうね。なんか、ちょっと、こう、勘違いしておられるような。あの、お便りのほう、読んでみましょうか。気がすすみませんけどね。

オヤジ

オヤジ、ちょっと教えて欲しいんだけど、
前置詞って、どうしてこんなにわかりにくいのよ!
今さ、翻訳なんかやってんだけど、さっぱりわかんないのよ。
かといって、アタシにも「意地」ってもんがあるじゃない?
途中で「できません」とか言えないのよね。わかる?
前置詞よ、前置詞。
アンタ、ちゃんとわかるように説明すんのよ!

ポポリン


あのー、これはやっぱり良くないですね。良い子のみなさんはこんなお便りを真似してはいけませんよ。人に何かを聞くときは、ちゃんと「お願いします」という素直で謙虚な気持ちが大切ですね。それと、どういうことが聞きたいのか具体的に書いておかないとわかりませんね。

うーん、ただ「前置詞」と書かれているだけなので、どういうことが聞きたいのかわかりませんねえ。また、どうして、こういった「ポポリン」さんのような「鳥」さんが「翻訳」をやっておられるかも、もひとつ、腑に落ちませんが、まあ、むげにするわけにも行きませんので。後で仕返しされても怖いですからね。仕方がありませんから、前置詞ということで、一般的なことを説明することにしましょう。

ひとことで「前置詞」と申しましてもね、なかなか解りにくいんですね。「前に置く言葉」ということで、単語の前に置く言葉なんですが、ただ単純に前に置いておいたらいい、という訳ではなさそうですよ。実はね、ポポリンさん、これは、やはり、それなりの役割を持っているということなんですよ。その役割とは、ズバリ、文章のなかで、「単語と単語をつなぐ」という役目をしているんですね。じゃあ、ここで、ちょっと例文のほうを見てみましょうか。はい、例文、お願いします。

The product is on the manual.
The product is under the manual.
The product is into the manual.
はい、ということで、一番上の文章ですが、「商品がマニュアルの上にある」ということで、二番目の文章は「商品がマニュアルの下にある」ということです。マニュアルも商品の上になったり、下になったりしておりまして、こういうシチュエーションの場合、商品が比較的厚さの薄いもので、マニュアルのサイズと同じくらいだと困ることがあります。一番上の場合、「あ、マニュアルが無い!」と言って、あちこち探し回ったあげく、結局、商品がその上に乗っていて見えなかったということになります。逆に真中の文章の場合、「あ、商品が無い!」と言って探し回った結果、マニュアルがその上に乗っていたので見えなかったということですね。何かを探すという苦労は同じなんですが、商品を探すのか、マニュアルを探すのかでは大きな違いがあります。

これは当たり前のことなんですが、つまりですね、単語と単語を「つなぐ」と言っても、何でも持ってきて適当につないだらいい、ということではないということなんです。意味が変わってくるということですね。ちなみに、最後の文章を見てみますと、「商品がマニュアルの中に入って行く」といった、現実ではちょっと考えられないようなことになってきますよ。商品が、ぐんぐんマニュアルの中に入って行く… なんてことになりますからね、怖いですよ。ということでですね、「つなぐ」と言えども、つなぐ相手に合わせた相応しい「つなぎ役」じゃないといかん、ということなんです。

「つなぐ」と言えばですね、やはり「縁結び」。これは、日本の未来を考えると決しておろそかにはできません。独身のみなさん方は、特に真剣に考えてくださいよ。もっと遊びたいから、お仕事を優先したいから、結婚はしなくていい、なんて思っていらっしゃいませんか?私の経験から申し上げますと、やはり、結婚は良いもんですよ。私は、何を隠そう、家内のことを「ハニー」なんて呼んでるんですけどね、家内は私のことを「トッシー」なんて呼んでましてね。二人でプリクラなんかも撮ったことありますよ。いや、照れますなあ…。で、私たち夫婦は「仲人」が趣味なんです。仲人は楽しいですよ。ハッピー、ハッピーですね。でもねえ、最近の若い人は「ジミ婚」なんて言いましてね、仲人を立てないカップルが増えてきたのが少し淋しいですけどね。とにかく、みなさん、ぜひご結婚されてくださいね。いえいえ、今からでも遅くないんですよ。結婚に年なんかないですからね。

ちょっと話がそれましたね。失礼しました。「縁結び」ではなくて、もっとわかりやすい「例え」を考えましょう。みなさんは、「コネクター」というものをご存知ですか?最近は、パソコンをお持ちの方も多いですし、このページを読んでいらっしゃる方も当然パソコンをお持ちですね。当たり前ですね、パソコンが無いとインターネットはできませんからね。ハイ、お手元のパソコンのお背中のほうをそーっと覗いてみましょう。ケーブル線とかが沢山くっついていますね。あ、今、ケーブルを抜いたらいけませんよ。見るだけですよ、見るだけ。そして、そのケーブルの先っちょにいろんな形をした頭のようなものが付いています。それが、つまり、コネクターと言うわけです。

で、このコネクターですが、そのまま訳すと「つなぎ屋」ということになりますが、文字通り、パソコン本体とキーボードとか、プリンター、マウス、ディスプレイとかをつなぐ役目をしているわけです。でも、ご覧のようにいろんな形をしていますね。な形をしているのもありますし、のもありますし、の… とまあ、いろいろあるわけです。しかも、オス、メスとか「性別」まであるんですよ。これはどういうことかと申しますと、どれでも適当につなげばいいというものではないということなんですね。実際、つなごうと思ってもつなげません。形が似てるから大丈夫かな、と言っても、ピンの数が違うとかありますからね。また、プリンター側はこれでいいけど、パソコン側はUSBポートしかない、というようなこともありましてね。つなぐ側、つながれる側の両方を考えて、それに最も合うコネクターを持ってこなけりゃいかん、ということなんですよ。

ずばり、例えれば、パソコンが前の単語、周辺機器が後の単語と考えますと、その間をつなぐ前置詞はコネクターのようなものだ、というわけなんです。プリンターならプリンター用、USBならUSB用と、専用のコネクターが必要なわけですね。ポポリンさん、おわかりですか?というようなことで、もう少し、例文を見てましょうかねえ。じゃあ、例文お願いします、はい、どうぞ。

1) Error message is displayed on the screen.
2) Error message is shown at the bottom of the screen.
3) Operating conditions or environments are described in the manual.
4) Please contact our sales offices by referring to the addresses provided at the back of this manual.
5) The following headings appear in the left column of the manual to help you locate different types of information.
6) Attach the wires to the connector.
7) Refer to the manual for the personal computer or PLC being connected.
8) The following table outlines the changes made to the manual during each revision.
9) Hook the product into the DIN Track.
10) Be sure to prevent penetration of water into the cable.
11) Be sure to prevent penetration of water through the cable end.

ということで、まず、例文の1)と2)を比べてみますと、エラーメッセージが画面上に表示されるということですが、使われている前置詞が違いますね。ただ漠然と画面上に表示されると言う場合なら、 on でいいわけですが、画面の「下」に表示というふうに、表示される場所が具体的になってくると at が使われますね。同じように、3)と4)を見ると、ただマニュアルの中にある、という場合とマニュアルのどこら辺にあるというのでは前置詞が違うわけです。

そして、 to なんかになりますと、「方向」といった意味合いも持っている前置詞ですから、6)のように、ワイヤーをコネクターに装着するという意味で使われていますが、7)のように refer という単語は普通 refer to というふうに使われ、自動的に to になるというようなことにもなりまして、つまり、動詞などに前置詞が続く場合は、動詞とペアになっているようなこともあるわけです。これは、パソコン側にUSBしか付いていないというような制限があるのと同じですね。

また、10)、11)のように、ケーブルに水が入らないようにというのは同じですが、ただ単にケーブルのなかに水が入るのと、ケーブルの先端から入ってくるという場合と、やはり前置詞が違うわけです。いかがですか?なかなかややこしいもんですね。ポポリンさんなんかは、こういった説明を聞いても「さっぱりわからないわよ!」と言われそうですが、実際、パソコンをつなぐコネクターのように取扱説明書などを読めば、「どれどれとつないでください」と書いてありますが、前置詞の場合はそういうわけにはいきません。じゃあ、どうすればいいのかということですが、悲しいかな、「これ!」という方法はありません。ま、確かに辞書なんかも参考にしながら、リーディングなどの鍛錬も積みながら、感覚的に判断していくしかないようです。そこら辺は、やはり、縁結びのようなもので、仲人として、責任を持ちながら、このお坊ちゃんにはあのお嬢さんというふうに、よく考えて判断するわけです。

とはいえ、これで終らせたらポポリンさんに怒られちゃいますから、それぞれの前置詞の特徴というものを、ちょっと標語のような形でまとめてみましたので、ちょっとご紹介させていただきましょう。もちろん、これ以外にもいろいろありますからね、これですべてOKというわけではないんですよ。では、標語ですからね、私が読みますから、みなさんもご一緒に読んでくださいよ。

on  on は表面貼り付き、ピッタリと。
表面に接触している状態。上からでも下からでも貼り付いたり、くっついたりしている状態。
in  in は中からこんにちは。
何かの内部に存在している状態。
at  at は狭いが、具体的。
具体的な場所などをいう。
to  to は方向、あっち向いてホイ。
動詞などの指し示す方向、対象の前に。
into  into ぐんぐん進入中。
方向と内部を同時に表現。中に入っていく状態。
through  through はスルッと通り抜け。
内部に向かって進んでいくが、内部に留まらず、通り抜ける状態。
of  of は何かに所属中。
帰属や所属、所有を表す。

ということでですね、前置詞と言っても、まだまだありますから、頑張ってお勉強してみてくださいね。

ということで、最後に今日の説明をまとめまして、みなさん、お待ちかねの「一句」を詠ませていただきましょう。
それでは、みなさん、ごきげんよう!